【特別賞】ペットボトルの水を飲みながら
僕は今日も自動販売機で、百二十円のペットボトルの水を買って飲んだ。
部活動帰りに、冷たくて清潔な水をごくごくと飲むと、暑さと疲れでくたくたになった体がシャキッ
とする。きっと細胞のすみずみにまで水分が行きわたり、体が大喜びしているのだろう。家に帰れば、蛇口からいくらでも出てくる水を、大切な小遣いを使って、僕はこうしてよく水を買って飲んでいる。
しかし、僕の祖母は、ペットボトルの水など一度も買って飲んだことはないらしい。「もったいない」
が口ぐせの祖母には、とてつもないぜいたくだと思えるのだろう。
日本人が、ペットボトルに入った水を、当たり前のように買って飲むようになったのはいつの頃からな
のだろう。
水はお金を払って飲むものだという世の中は、本当によい世の中なのだろうか。
水道の水をがぶがぶと安心して飲めるのなら、それも、昔の井戸水がそうであったと言われるように、
冬温かく、夏冷たい水を安心して飲めるのなら、どんなにかいいだろう。
僕たちは、水道の水が、実際にどのようにして各家庭に届くのか、まったくというほど知らないし、
あまり関心ももっていない。
時によっては、消毒のにおいがしたりして、なんとなく不安になってしまうのだが、水道の水をわたし
たちに供給している人は、多分いろいろな苦労があるのだと思う。
わたしたちは、家の蛇口までどのようにして水が届くのか、もっとよく勉強しなければいけないと思
う。
毎日の生活の中で、水ほど大切なものはない。しかし、あまりにも身近過ぎて、水をありがたいとは思
わなくなっている。だから、シャワーを出しっぱなしにしたり、歯みがきをしながら、蛇口を止めなかったりすることに、あまりもったいないという気持ちがないのだと思う。
僕自身が買ってまで飲む、この貴重な水。蛇口から出る水も、ペットボトルほどではないけれど、お金
を払っている。その水を供給している人がいる。当たり前のように使っていてはいけないのだと、冷たくておいしい水を飲みながら、僕は思った。


