2017年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  今岡 紫雲英

【特別賞】生田浄水場

また雨が降ってきた。今年の八月はよく雨が降る。雷や突然の豪雨で部活を途中で切り上げた時も

あった。大雨の中、帰宅途中にある生田浄水場を横目で見ながら、ずぶぬれになって急いで帰る。浄水

場の敷地はとても広くて、約十六万五千平方メートルもの面積があるそうだ。小学校低学年の頃は、こ

の浄水場の周りをぐるっと歩くのがめんどくさくて、この中を突っ切れたら学校まで早く着くことが出

来るのに、といつも思っていた。友だちの家に遊びに行く時も、自転車で急いで浄水場の周りを走った。

小学校高学年の時は一周一・三キロメートルのジョギングコースとしてマラソンをした。

近年、川崎市の水使用量が減っているために浄水場を集約することになり、生田浄水場は工業用水

専用の浄水場になるそうだ。そこで敷地の四分の一を地域住民に開放しふれあい広場や多目的広場、ス

ポーツ広場などができることに決まった。ふれあい広場には地下水を利用したじゃぶじゃぶ池や災害時

に利用できる応急給水拠点や複数台のマンホールトイレも出来るそうだ。私は近所にボール遊びがで

きる広場が整備されることをとても嬉しく思った。この辺りの公園はどこも狭くて住宅地にあるため、

ボール遊びが出来ないからだ。

しかし、このような計画を反対している意見もある。今までの川崎市の水源は相模湖と生田浄水場周

辺にある井戸が中心で、多摩区のほとんどの地域の水道水は井戸の地下水を利用しているため、夏は

冷たく、冬は温かいのだそうだ。そしてミネラル分が多く、「多摩区の水はおいしい」と言われ、「生田の天然水恵水」のペットボトルがあるくらいだ。このおいしい水を今後は利用できなくなることに反対している住民も多い。そのことは街の豆腐屋に貼ってあるチラシで知ることができた。

時代が変わって、工場や各家庭の節水が進んで水使用量が変化し、生田浄水場が住民の飲料を確保

する必要がなくなる現実を考えると、広場に整備してみんなが有効に使える方が良い、と私は思う。誰

でも利用できるトイレが整備される計画があることも有り難い。この辺りはジョギングをする人が多い

し、トイレがあることでお年寄りの散歩コースにもなり、利用者が多くなるだろうと考えられるから

だ。

小学生の頃、あんなに突っ切って見たかった浄水場を通り抜けることが近いうちにできるようになる。

中学生になって通学路が少し変わり、浄水場の周りを歩くことはなくなったけど、学校帰りに突っ切っ
てみたい。それが何よりの楽しみである。

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