2018年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  アマヤギドウ ジュン

【ざぶん環境賞】水を大切にする島の暮らし

私の住む粟国島は外周約十二キロメートルのとても小さな島です。島には山も川もありません。井戸も少なかったので水資源に乏しく「生きるための水」を確保する事はとても深刻な問題でした。

今から何百年もの昔、私たちの先祖は水を蓄え、保存するための容器を作りました。それが「トゥージ」です。トゥージとは、粟国島だけに存在する石でできた水槽です。形は丸みを帯びた巨大な石の茶碗のようです。大きいもので高さ八十四センチメートル、直径百五十七センチメートル、容積は約五百リットル、トゥージ自体の重さは約一トンもあります。いったい誰が考えだし、作り始めたものなのかは解明されていません。

トゥージ作りは一生をかけての仕事でした。島の西海岸にある凝灰岩は加工しやすい岩ですが、あまり力を入れすぎると割れてしまいます。運搬は大変な労働作業で水路と陸路の両方あります。海からはサバニ二隻で間にトゥージを挟んで真竹と縄で縛り浮力を利用して運びます。それから、陸にあげ部落内に運びますがとても重たいものなので、多くの人手を必要とします。木材とトゥージを縄で縛り五十~六十人が交代で担ぎます。百人を動員することもありました。苦労して造り運ばれた「トゥージ」は生活を支える大切な財産として親から子へ受け継がれ、私の祖母の家にあります。「トゥージ」を運んだ夜は、家主が夕食を用意しますが、貧しい時代にごちそうが出るわけでもなく、「イモと豆腐」でした。それでも人数が多くなればとても大変でした。運搬に必要な人手は「結まーる」で集められました。沖縄では「結びつき」や「助け合い」を意味する言葉で、島の生活には欠かせない「相互扶助」の事です。粟国島では沢山の人が協力し合い助け合っていこうという考え方を「トゥージの精神」といいます。一人で達成できない困難な作業を、沢山の人々が協力し合う「トゥージ」作りそのままを表わす言葉です。

生活が便利になった今でも「トゥージ」とその「精神」は大切に受け継がれています。現在は庭の花など水をあげる際に使われています。また、粟国島の家にはコンクリートで作られた雨水タンクがある家が多く、自然の恵みを活かした家づくりがされています。普段から水を無駄にしない島の暮らしがあります。この水は台風が過ぎた後の家の掃除や車の洗車、洗たくなどにも使われます。長い間、粟国島は、水資源に乏しい環境にあり苦しんできました。飲み水の安定確保はいつの時代も命につながる問題です。トゥージを作り代々受け継いだのは先人たちの知恵と工夫と限りある資源を大事に使う心です。現在、島の水は海水から作られています。海を汚さず、環境を守る事が大切です。水は人々の命を直接的にも間接的にも支えている重要な資源です。

私も祖母の家のトゥージを大切に守っていきたいです。

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