2019年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  増田 守世

【特別賞】白さぎの旅立った夏

今年の夏は非常に暑かった。私はこの夏休みに大失敗をしてしまった。そしてその失敗のために悲しい事実に気づいてしまった。

周りからは、

「熱中症対策をしたか。熱中症に気をつけなさい」

と、しつこいくらいに言われていた。

「普通ならんやろ。私は夏の暑さになんか負けんわ。大丈夫やわ」

と言って、特に気をつけなかった。しかし事件は起きてしまった。

いつもと同じように部活をして、お昼ご飯を食べ、昼寝をした。夏休みのお決まりのパターンだったが、この日は昼寝から起きると、頭が痛かった。

「気のせいかな。クーラーの中で昼寝をしたから風邪でもひいたのかな」

と、軽く考えていた。ところが、夕方になると目の前の地面が回り始めた。目を閉じるとグルグルと回った。私はこのまま起き上がれないのだろうかと考えた。病院へ行くと、熱中症だと言われてそのまま入院した。先生に、

「今日は三十七度もあったのに、外で運動していると熱中症になるのは当然です。スポーツドリンクは持ってなかったの?」

と言われた。自分は大丈夫だと思って、調子の悪くなった友人にスポーツドリンクをあげてしまった。ベッドの上で点滴をしながら色々なことを考えた。

「なぜ私はあのときに友達にあげてしまったのだろう」

「なぜ給水時間に私はドリンクを飲まなかったのだろう。神様からの罰に違いない」

といった、後悔ばかり考えた。そしてその時に私は、先日おじいちゃんの田んぼの中で、立ったまま死んでいた白さぎを思い出した。

ある朝白さぎが田んぼに立っていた。その時はよくあるいつもの光景なので、何もおかしいと思わなかった。しかし、私が学校から帰ってきてからも同じ場所に、同じ格好で白さぎが立っていた。おじいちゃんと、

「同じ場所にずっといるのはおかしいな」

と話した。翌朝、まだ同じ場所に同じ格好で白さぎが立っていた。不思議に思い恐る恐る近づくと白さぎは立ったまま固まって死んでいた。おじいちゃんは、

「田んぼから足が抜けなくなって、餓死したのかも知れないなあ」

と、言っていた。

その時は納得していたが、私は病院のベッドの上で気づいた。

白さぎは私のように熱中症になって動けなかったのかもしれない。途中で水を飲まなかったのだ。今年の夏の暑さを白さぎも私と同じように簡単に考えていた。私は家族に病院に運ばれてなんとか復活した。白さぎはその時立ったまま、何を考えただろうか。白さぎも水を飲まなかったことを後悔しただろうか。白さぎは私のように点滴が出来なかったので復活できなかった。その白さぎも少し違えば、今もどこかで空を飛んでいるかもしれない。私の勝手な想像かも知れないが、悲しい事実に気づいてしまった。

私は今年の夏を忘れない。

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