2008年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  市村 淳一

【ざぶん環境賞】いたち川の旅

 

「いたち川」は私の生活にいつもある川です。

 

朝、学校へ行くときには必ず、橋の上から川をのぞきます。カモの親子を見つけた時は自

然と笑顔になり、サギがスッと立っているのを見つけたときは、思わずこちらの背筋まで伸

びます。

 

小さい頃から、季節の変わり目ごとのいたち川を見てきました。春には満開の桜が、川面

に今にもくっつきそうな様子を、友達と一緒に見ていました。夏は川の真横にある公園が、

ラジオ体操や清掃活動の場所でした。秋も冬もいたち川は、いろいろな顔を見せてくれます。

 

三年生の夏休みに、いたち川はどこまで続いているかを調べるために、川沿いをずっと歩

きました。その日はとても暑い日でした。家の近くの橋から出発して、橋の名や通っている

場所を調べながら、どんどん下流へ進みました。家の近くでは速かった流れが徐々にゆるや

かになり、川幅も少しずつ広くなっていきました。

 

富山駅の近くまで歩くと、松川と合流します。コンクリートできちんと区切られた二つの

川が一つになるとき、まるで友達と出会っているように見えました。場所によって商店が多

いところ、家が多いところ、病院の近く、と様々な風景の中を流れていきます。

 線路をくぐると赤江川と合流します。三つの川が一つになったいたち川は、ますますゆる

やかになり、富岩運河の近くでは、流れていないくらいに見えるところもあります。時々見

えるゴミが川の傷のように見えてかわいそうになりました。

 

いたち川は最後に神通川にたどりつきます。ゆるやかだったいたち川が、最後に勢いよく

流れこみます。神通川は海のように、そこに流れこむ様子はまるで巣立って行くように見え

ました。私は「いたち川を海まで頼んだよ」という気持ちで見送りました。

 

一緒に歩いた母は、「もっと汚いイメージがあった」と言います。しかし今では、たくさん

の人の努力が実ってきれいな川になり、平成の名水百選に選ばれているということも知りま

した。

 

三年前から、私の町内では鮭の稚魚の放流をしています。まだ帰ってきているところを見

たことはありませんが、私は海までの道のりを知っているので、鮭を迎えに行きたいくらい

です。いたち川が身近なところで自然にふれあえる、そんな川であり続けられるように、私

たちが努力していきたいと思います。

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