【特別賞】日本ジャンボリーに参加して
蛇口をひねると、当たり前のように水が勢いよく出てくる。当たり前のことが、ぼくはこの夏、すごく
ありがたく思えるようになった。
ボーイスカウトの日本ジャンボリーに参加した時だった。富士山のふもとにある朝霧高原の牧草地で
八泊九日で行われた。もちろん、電気もなければ、水道もない。テントをはって生活をした。テントの当 番の日は、朝四時におきて、ポリタンクを持って、配水車の前に並んで水をもらった。
その満タンのタンクの重かったことを今でも覚えている。二十キロ近くあるタンクを両手で持ち上げ、
テントまで必死で歩いた。一日分のみんなの水だ。生きていくための大切な水。水がなければ生きていけ ない。そんな思いでテントまでなんとかたどりついた。
その水で、まずは朝食づくりが始まる。ご飯をたくために、米をとぐ。そして、その不要になった水を
その場に流してはいけない。バケツの中にためておく。一日の終わりに、その水は、テントの場所から離 れた、捨ててもいい場所まで運んで捨てた。これがまた重くて大変だった。テントの場所の近くには決し て捨ててはならなかった。
なぜならば、ぼくたちがテントをはっている場所は牧草地だ。いつもは牛の生活の場。そこに生えてい
る草が牛のえさだ。ぼくたちが汚れた水をそこに流してしまうと、土にしみこみ、それを草が吸い、その 草を牛が食べる。その牛の乳をぼくたちは飲んだり、牛肉を食べたりする。結局、汚染されたものが自分 にもどってくるわけだ。
水は自然界のなかでは、常に循環している。きれいな水を手に入れ、安全な生活をするためには、自分
たちの水の使い方を常に考えて行動する必要がある、ということがよくわかった。
テント生活のあいだ、トイレはもちろん水洗ではなかった。シャワーも八泊のうち二度しか機会はな
かった。あとは、体を拭くくらいだった。いかに、生活の中で、水を必要な分だけしか使わず、無駄にし ないかということだった。
無事キャンプを終え、家に帰ったとき、蛇口をひねるだけで、水が「ジャーッ」と出たことがあまりに
もうれしかった。こんな機会がなければ、ぼくの中では、水はいつも蛇口をひねれば出てくるのが当たり 前で、水の大切さを考えることはなかったと思う。これからは、蛇口をひねる度に、この経験をもとに、 水の大切さを考える機会になるようにしたい。


