2013年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  本巣 秀一

【特別賞】水不足に対して

旅行に行った帰り道、僕は福島県の山間にあるダムに寄った。いつもテレビで見るようなコンクリー

ト固めのダムではなく、石や岩などで造った「ロックフィルダム」というそうだ。ダムの資料館で説明を見た。最近はダムの貯水量が低いとよく報道されるが、この日のダムの貯水率は九六パーセント。旅行先だったから、ここの水は関東には来ないけれど、貯水率が高いのはいいことだと思った。

旅行から帰って一週間が経った。テレビのニュースでは、「ゲリラ豪雨」とか「経験のないような大雨」などと報道がされていた。一方で、「関東のダム貯水率が五一パーセントで取水制限」とも報道されている。何だか悔しかった。自分のことではないのだけれど。雨は降っているのに水不足で取水制限。都会の豪雨で洪水がおこり、山のダムには水が貯まらない。まるで神様が意地悪しているみたいに感じた。しかし、それは自然の現象だから、僕が何を言っても仕方がない。

では、水不足に対して人ができることは何かないのか。僕は、やっぱり節水が一番だと思う。誰にでも

簡単にできるからだ。

日本は水に恵まれた国だ。雨量が多いし、上下の水道も整っている。蛇口をひねるだけで、美味しい水

が飲める。当たり前のようにどこにでも水がある。しかし、だからといって無駄遣いしてはいけない。世界には水が足りない国がたくさんある。例えばシンガポールだ。豊かな国だが、この国は水を輸入している。他にも川に水を汲みに行く国もある。水は貴重な資源なのだ。

また、日本の排水量の内わけで、生活排水が七割を占めるとニュースで言っていた。考えてみれば、炊

事、洗濯、風呂、トイレなど、生活では大量の水を使う。日本にはたくさんの人が住んでいるから、一人ひとりが気をつけないと排水量は減らないだろう。水に恵まれていることに感謝して、みんなで節水ができたらいいなと思う。

同時に「水をきれいに使う」ことも大切だ。下水処理場で水をきれいにしているとはいえ、排水は多

く、河川や海の水を汚す。その影響で生き物が死んだり、住めなくなったりすることがある。

赤潮がその例だ。排水によって、特定のプランクトンが異常繁殖し、海が赤くなる現象。それらのプ

ランクトンが海水中の酸素を消費し尽くした結果、魚などの生物が死んでしまう。赤潮は実際に瀬戸内

海などで起き、魚や貝に被害が出たそうだ。原因である排水は生活排水でもあり、僕たちも、水質汚染

に関係ないわけではない。

このように、水を使ったり汚したりしてきたのは人間だ。それはこれからも続く。限りある水資源を

ずっと使い続けるためには、水を大切に使う、というごくごく当たり前のことが一番必要なのだと思う。

僕は毎日、歯を磨いたり顔を洗ったりするときに水を流しっ放しにしない。油を使った料理を食べた

皿は、油を拭き取ってから洗う。洗濯は、すすぎ一回に設定する。そのような身近でちょっとした気遣いが、水を大切に使うことなのだと思う。またぼくの学校には、そういった気遣いを仕組みとして取り入れているものがある。

トイレの洗面台での、自動で水が出る水道だ。手をかざせば、必要な分だけ水が出る。だから、水の

無駄がなく、今はいろいろなところに普及している。でもこれに頼り過ぎてはいけない。「水を大切にしよう」という気持ちが薄れてしまうと思う。技術が発達しても、結局は、人が水を大切にしなければ意味がないのだ。

そういえば、あのダムは、流入してきた水を農業用水、工業用水、水道用水などに分けて下流に流す

多目的ダムだった。目的に応じて水を分けるダムの機能、それも水を大切に使おうということなのかも

しれない。

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