【ざぶん文化賞】海とおじいちゃん
2022年9月22日
私の名前は、「美しい波」と書いて、「美波」です。おじいちゃんが瀬戸内海の島の漁し
だったので、海につながりのある名前にしたそうです。
おじいちゃんは、海の仕事が大好きで、新せんでおいしい魚やエビをたくさんとって、持っ
てきてくれました。いつもニコニコしていて、とてもやさしいおじいちゃんでした。
二〇〇五年一月二十六日、小雪のふるとても寒い夜のことでした。いつもばんに漁へ出て、
朝になったら帰ってくるはずのおじいちゃんが帰ってきませんでした。船だけが見つかった ものの、おじいちゃんはどこにも見つかりませんでした。島の漁しさんや親せき、ふだん船 に乗っていない、わたしのお父さんたちもさがしに行きました。海上保安庁のヘリコプター や船も三日間出たそうです。
お母さんは、三さいだったわたしと五ヶ月の赤ちゃんだった弟をつれて島にとまりこみま
した。おばあちゃんは、組合の人たちと話し合ったり、ねる間をおしんでいのったりと、とて も大変でした。みんな仕事を休んで何日も何週間も必死にさがしてくれました。
そして、五か月後の六月二十五日、おじいちゃんはようやく見つかりました。半分はあき
らめていたので、おそう式は見つかったうれしさで、とても明るかったそうです。わたしは小 さかったのでこのことは覚えていません。でもおじいちゃんのニコニコ笑顔は、今でも覚えて います。
今年は、おじいちゃんの七回きでした。おじいちゃんのおはかは、島の高台にあって船の
形をしています。
おはかに、お線香をあげ、おいのりをして後ろをふり返ると、大きな瀬戸大橋と、きらき
らとかがやくおじいちゃんの大好きな海が広がっていました。


