【奨励賞】異常気象の活用
夏休み、僕は、家族といっしょに、祖母の待つ千葉県いずみ市に、車で向かっていました。
「ゴロッピカッ」
どんよりとした空が、急に真っ黒になり、雷鳴、そしてどしゃ降りになりました。
「お母さん、車をどこかに止めようよ。全く前が見えないじゃない」
「大丈夫よ。ゆっくり、ゆっくり走るから」
我が家では、車は母しか運転しません。助手席の父が急に大声を出しました。 「おい、ひょうが降って来たよ。コツンコツンあたるだろう」
八月のひょう。僕は、初めて見ました。氷砂糖くらいの大きさのものまで、ボンネットにあたりました。
「車に穴があかないかしら。いや、それよりお母さん、この雨の降り方異常よ」 妹がそばで震え出しました。
僕は、今まで何回も大雨を見て来ました。しかし、前のガラスが真っ白になるほどの大雨は初めてでし
た。
「お母さん足元がぬれて来たよ」
「それは大変だ。床上浸水ってことだよ」
父が、半分冗談で言いながら、興奮していました。
「止まろう。これはだめだ。雨さえ降らなければよかったのに。せっかくのお盆なのに」
僕は、この時ふと変なことを考え始めました。
豪雨を止める研究は、もちろん大切だと思います。でも、雨水、豪雨を利用する研究こそ、二十一世紀
の主要な科学になると考えていたのです。僕は、雨水や豪雨の力で、人間や自然にかかわる問題を解決
できると考えます。雨水は一番簡単な活用法で、飲料水としてなら、最長二ヶ月ほどもつというデータがあります。
では、豪雨はどうでしょう。僕は、『もったいない』感覚を持ち、豪雨も利用すれば良いと考えます。
たとえば雨水で走る自動車の開発や、豪雨による豪雨発電。雪との融合による冷房・暖房への利用。川
の水をためるのではなく、雨水だけをためる雨水ダム。豪雨による荒地緑化及び都市部の緑化。道路周
辺を常に湿らせ、道路温度を下げるための豪雨の利用。山崩れや伐採により荒れた森に保水力を補充す
る豪雨の活用。さらに都市部のクール・アイランド化の推進に、豪雨を霧状に噴霧したミストの装置開
発。豪雨による農業用水、災害時の緊急備蓄としての豪雨の利用などです。
もう、考えがどんどんあふれ、頭が床上浸水になりました。ああ、もったいない。豪雨という可能性の
ある資源を捨てるなんて。
お盆帰りの豪雨とひょうの中、僕は、人間が、あらゆる種類の水の恩恵にあずかれる二十一世紀を考
えました。そして、雨がやむ頃、僕たちは目的地に着いたのでした。


