2010年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  沼田 佳苗

【特別賞】昔の海に戻ってほしい

青森県の脇野沢は、昔から鱈の漁場として大きなにぎわいを見せていました。この地で、僕の父は漁

師をしています。やはり鱈を中心に魚を獲って生計を立てています。けれどもここ数年、とりわけ二年前までは、鱈があまり獲れなくて大変でした。父が漁師になってすぐの時は、たくさん鱈が獲れたそうです。当時は、魚の重さで船がしずんでしまうかもというぐらい鱈が獲れたそうですから、今は随分様相を異にしています。

父は、「海が変わってきているんだなぁ」とボヤいていました。でも、昨年は鱈がたくさん獲れるよう

になりました。「V字回復」に漁場は沸きました。すると父は、「海の環境が良くなってきた」とその変化に大喜びでした。僕も、鱈が獲れ始めてきたことに、うれしい気持ちでいっぱいです。

鱈が獲れると、漁師をしている人たちはみんな笑顔になります。だから僕は、これからもこの地で鱈

がたくさん獲れてほしいと願っています。そして、また活気のみなぎる港にもどってほしいです。僕も漁師になるつもりです。それが果たせた時には、さらにもっと鱈が獲れたらいいです。そのためにも、もっともっと海の自然環境をととのえていく必要性を感じます。

一方、鱈とは逆に昨年は、カレイがあまり釣れませんでした。前の年まで釣れていたポイントでは釣れ

ずに、ずっと沖に出て釣るようになりました。父は、「海の中が寒いから、魚が釣れないのだ」と言います。僕は、やはり海の中が変わってきているのだなと思いました。今の海は、明らかにそこで暮らす魚たちにとって恵まれた環境ではなさそうです。

この地の海が魚にとって居心地のよい場所になるために、ここにくらす人々も、海の再生を真剣に考

え直さなければいけません。そうでなければ「共倒れ」の事態を招きかねません。もっと魚がたくさん釣れるようになればいいなと思います。昔の、魚のたくさんいる海に戻ってほしいです。

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