【奨励賞】水たま君の夏休み
暑い暑い夏休みのある日、水たま君は海に出かけました。ぷかぷか波にゆられてひと休みしようと思っ
たからです。ふと見ると、星のような形をしたものが波うち際にあります。 「空から落ちて来たのかな」
触ろうとすると
「僕はヒトデだよ」
と星がしゃべりました。ひゃっ!とびっくりした水たま君でしたが、ヒトデは、空ではなく海に住んで
いるのだと話してくれました。
水たま君は、海にはどんな生き物がいるのだろう、と興味がわいてきました。 「トビウオなら見たことあるよ」
風がザワザワと教えてくれました。
「おいしい小魚がいっぱいだわ、ヒッヒッ」
と、目を細めながらカモメが言いました。
「貝だったらボクにくっついてるよ」
波から頭を時々出しながら、岩が言いました。
「へえ…なんだかおもしろそうだな。よしもぐって見てこよう」
水たま君は、初めて海にもぐったのです。なかなかうまくいきませんが、くじけず頑張って頑張ってもぐりました。
最初に出会ったのは風の言っていたトビウオでした。大きなヒレに水たま君は少しおどろきました。
「大きな魚に追われると、このヒレで空中を飛ぶんだ」
とひろげて見せてくれました。キラキラときれいな羽のようでした。
次に会ったのは、細長い体でくちばしのようなものがついているサヨリでした。水たま君が目を丸くし
て見ていると
「この長いのは下アゴなのよ、水たま君」
とサヨリがしゃべりました。
「あれ?僕を知ってるの?」
サヨリはにっこり笑って
「水たま君はお友だちよ」
と言いました。向うでキラキラと群れになっているイワシたちも
「トモダチ、トモダチ」
と言っています。
水面にもどった水たま君は、お友だちだと言われたことを岩に話しました。 「そうかぁ、水たま君なら、あの怖いサメにもさわれるかもなぁ」
ホオジロザメは、他の魚たちもとても怖いと言っていました。とがった三角の歯がいくつも重なってい
るそうです。水たま君はサメにも会ってみたいと思い、また海にもぐりました。ドキドキしながらしばらく行くと、サメが姿をあらわしました。水たま君は勇気を出して近寄りました。 「ギロッ」とにらまれましたが思い切って声をかけてみました。
「あのう…さわってもいいですか?」
サメは意外にも
「なんだぁ、水たま君じゃないか。いいよー好きなだけさわって」
…なんだか、ちっとも怖くありません。
「お腹いっぱいだし、水たま君は食べたりしないよ。大切なお友だちだし」
サメはさわるとザラザラしていました。水たま君がなでなでしているうちに、サメは眠くなったようでウトウトし始めました。通りかかったユラユラしたクラゲが 「あら、やっぱり水たま君ね。すごいわね、サメが眠ったわ」 「僕はみんなとお友だちなのかなあ」
クラゲは、
「そうよ、海は水たま君がいっぱい集まっているのよ。いつでも遊びにいらっしゃい」
水面にあがり、また岩に報告しました。
「水たま君はお友だちがたくさんだね。うらやましいよ。またもぐったらお話し聞かせてほしいなぁ」
「うん、いいよ」
水たま君はうれしくなってにっこり答えました。
水面は太陽がまぶしく、もぐり疲れた水たま君は波にゆられながら、眠くなりました。世界中の海を
まわったらどうだろうなぁ…と思いながらゆっくり目を閉じて、水たま君は夢の中にもぐって行きまし
た。


