2019年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  蓬田 やすひろ

【準ざぶん大賞】祖母VS雨もり

昔から、人間は水を大切にしてきた。古代からダムを建設し、井戸の確保もしてきた国もある。そして、現在の日本でも、ダムの建設、上下水道の整備など、水を大切に使おうと努力している。「恵みの雨」「恵みの水」を人々は生活に利用してきた。しかし、そんな「恵みの雨」と戦っている人もいる。祖母は、実に五十年近くも大切な「恵みの雨」と戦ってきたのである。

祖母の家はとても古く、築百年は経っている。小さい頃からよく泊まっていたので、居心地はバツグン、とても住みやすいと思っている。しかし、そんな祖母の家は、祖母の長年の努力のたまものだったのだ。祖母の家はなんと、雨もりの激しい家だったのだ。

大雨が降ると、祖母は家中を見て回る。そして、雨もりを発見するとバケツや洗面器が並べられ、雨音のコンサートが始まるのだ。

「直しても直しても、どこからか雨もりしてくるんよなぁ」

と、話していた祖母に、

「家、建て直したらええのに」

と、言ったことがある。しかし、

「何か問題があるごとにちょこちょこ直してきたけん、この家がかわいいんよ」

と。言った祖母の笑顔が心に残っている。祖母は何でも自分でやるので、愛情をこめて直してきた家は、子どものようなものだろう。

しかし、ここ最近、雨もりがさらにひどくなり、トイレが壊滅的な状況になった。トイレの天井のあらゆる所からしずくが落ち、バケツではどうにもならない状況になったのだ。

「トイレで傘ささなあかんな」

と、祖母と母が冗談のように話していたが、それがヒントになったのか、祖母はビニールシートと押しピン、バケツを用意し、トイレに向かったのだ。しばらくして、祖母が、

「できたよ」

と言うので、トイレへ向かうと、テントのような、祖母特製の手作り装置が目にとびこんできた。雨水がビニールシートを伝って一か所に集まり、その雨水がバケツの中に入るよう、うまく角度を計算して押しピンで留めているのだ。これには私もびっくりして、

「すごい、ピタゴラ装置みたい」

と、思わず拍手をしたほどだ。これが五十年間雨もりと戦ってきた祖母の経験と知恵か、と思った。その後も、雨が降るたびにトイレにはビニールシートが張られたが、大きな問題もなく日常生活を送れた。もちろん、雨もりの水でも、花の水やりに活かしている。

そんな祖母の家は、今年の春からリフォームをしている。次の世代が安心して暮らせるようにと考え、決意したそうだ。これで、祖母の長い長い雨水との戦いは終わりを迎えるかもしれない。しかし、笑って対策を練る祖母、雨もりの水さえも無駄にしない祖母の姿を、私はずっと忘れない。

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