2008年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  青山 恵

【特別賞】通り雨と私

 

私は雨が好きです。なぜかというと、雨にぬれながら走るのが気持ちいいからです。

 

一番思い出に残っているのは、小学校最後の六年生の運動会です。朝から雨が降りそうな曇り空だった

けれど、なんとか降らずにお昼になりました。

 

お昼からの競技も無事に終わり、〝最後の目玉〞色別対抗リレーが始まりました。ポツポツと雨を肌に

感じながら、自分の出番を待っていました。

 

一年生が走り、二年生が走り、ポツポツの量が増えてきました。四年生がバトンをもらう頃には、本当

に雨になっていました。でも先生は何も言わないので、続けていいんだと思いました。 

お母さんの方を見てみると、大騒ぎしていました。でも、うちの町内はテントがあったのでよかったで

す。

雨はどんどんひどくなってきて、打ちつけるような雨になりました。私の出番はもうすぐなので緊張し

てきました。今年、私は赤組のアンカーです。みんな、びちょぬれの中を気持ちよさそうに走っているので、私も出番が待ち遠しくなりました。

 

赤組の子が走ってきました。バトンをもらい、痛いぐらいの雨の中を一生懸命走りました。途中で水た

まりにはまったりしたけれど、がんばって走ったら二位でした。 「雨の中、走るの気持ちよかったわぁ」

と友達に言ったら、

「ウチも。なんか、青春してるって感じやったの」

と言われて、マンガみたいだと思いました。ヒロインになった気分です。すがすがしい気持ちで、走り終えた余いんにひたっていると、雨はやみました。 なんだ、通り雨か…。
グラウンドはぐちゃぐちゃ。次に予定していた盆おどりは中止になり、すぐに閉会式になりました。

やった!早く終わったぞ。

 

後片づけをしていると、あたりが明るくなってきて、青空が出てきました。さっきの雨はうそのよう。

 

私の心にも時々、通り雨が降ります。大体、友達とけんかをした時です。意見の食い違いがあって、気

まずくなると、私も悪いと思いながら自分からあやまれず、意地をはってしまい、心の中で雨が降ります。

自分も不器用だと思います。でも、よく話し合って相手の考えが分かると、「何だ、こんなことでなやんでたんだ」と思います。

外へ出て、気持ちいい空を見ると、あの日の青空を思い出しました。 通り雨…か。

 

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