【ざぶん文化賞】べんちょこ
2022年8月22日
ぼくは、二ッ川に住む「べんちょこ」。ニッポンバラタナゴやセボシタビラ、ぼくらタナ
ゴの仲間のことをみんな、「べんちょこ」って呼ぶんだ。かわいい呼び名でしょ。ぼくの住ま
いの二ッ川は、沖端川が水源の清流で、水郷柳川を支える重要な河川なんだ。近くには小学
校があって、橋の上を子供たちがにぎやかに通っていくよ。まわりは田んぼが広がっていて、
春には菜の花が咲いてとってもきれいだよ。ぼくはチビで身長六センチ。大きいやつは九セ
ンチのがいるよ。それに、頭も口も小さくて丸っこい口、一対の口ひげもある。かっこいいで
しょ。雑食性で何でも食べるんだ。ぼくらタナゴの数は、絶滅が心配されるぐらい希少な魚
なんだ。
ぼくたちは変わった繁殖習性をもってるんだ。だってドブガイみたいな、生きた淡水二枚
貝のエラの中に卵を産みつけるんだから。どうやってエラの中に産みつけるかって?それ
は、貝の水がでてくる出水孔をのぞきこんで、うまくねらいを定めて産みつけるのさ。だか
ら、ぼくたちが住むところには、卵を産みつける貝がいないといけない。その二枚貝が生息
するには、エサになる植物プランクトンのケイソウ類が豊富で、溶存酸素量が十分ある水質、
砂泥底から泥底の底質が必要なんだ。しかもドブガイ類は、幼生期にヨシノボリ属などの底
生魚のひれに寄生し、成長する。だから、ドブガイの繁殖には、これら底生魚の存在が不可
欠…。といった具合に、ぼくたち「べんちょこ」の住まいの条件は大変なんだ。しかも、最
近は、今までいなかった外来魚まで住みついちゃったり。
ぼくたち平野部の川に住む淡水魚は、人間の影響を受ける環境のもとで、種々の生物と巧
妙に関わり合って命をつないでいる。これからも、仲間といっしょにずっと二ッ川に住みた
いな。


