2015年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  蓬田 やすひろ

【準ざぶん大賞】夢と汗と感動と

「夢、汗、感動」

これは、私の所属する千葉県中学校陸上チームのTシャツにプリントされた言葉だ。夢を

持ち、汗を流して努力し続けた者にしか得られない感動がある。そんなことを言っているの

ではないかと、私は思う。ここで言う、汗について私の陸上競技の経験から考えることを話

してみたいと思う。

中学校に入学してまもなく出場した陸上競技大会。記録的には県大会出場も遠く及ばず、

私はごく普通の、平々凡々な選手であった。一年後、二年生時に県大会には出られたものの、

予選敗退。そんな私を大きく変えた出来事がある。それは、県内の合同合宿練習会だ。これ

までにないくらい走らされ、これまでにないくらい汗をかいた。冷たい汗もかいた。

「県で速い人って、こんなに走ってるの?自分、このままじゃ、どうしようもなく離され

てしまう。やばいぞ何か変えなければ」
それ以来私は、県内のライバルに勝つために、必死にメニューを考え、必死に汗を流して

練習した。今日はどれくらい汗を流したか?それがトレーニングの指標にもなった。中学

校最後の冬、積極的に走り込み、合宿にも参加した。カッコ悪くても、ダサくても、とにか

く汗を流し続けた。ひたむきに、ひたすら走り続けた。

そうして迎えた中三の陸上シーズン。汗を流し続けるやり方が功を奏したのか、記録がグ

ンと跳ね上がった。一五〇〇メートルでは、全国大会参加標準記録さえ突破してしまったの

だ。しかしここで、自分の前に、大きな壁が立ちはだかる。県大会が、三八度を超える猛暑

になったのだ。長距離走者にとって、暑さは大敵。ここでまた、冷たい汗が噴き出す。ここ

で決められなかったら?みんなの期待は?俺の中学陸上は、ここで終わり。焦りと不

安、緊張がもたらす冷や汗だった。それでも、気持ちを切り替え、「やるしかない」とレー

スに臨んだ。

一周目、六二秒。うん、いい感じ。二周目、六七秒。暑い、苦しい。汗が噴き出す。三周

目、六九秒。きつい。体中が汗だらけだ。ゴール。四分五秒五八、自己ベスト。全国大会出

場だ。

この時にかいた汗の量は、何度も走ってきたレースの中で、一番多かったと思う。しかし

このレースこそが、これまで流した汗の本当の価値を感じた瞬間だった。

トレーニングで流した熱い汗。県練習会や試合前の冷や汗。これらすべての汗に、中学時

代の夢と感動が詰まっている。

最後の最後に感動を与えてくれた自分の汗を、これからも大切にしていく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です