2018年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  多田 健一郎

【特別賞】私の楽しみ

「ばあば、そっち行ったよ」

祖母と私と妹の共通の趣味、それは魚とりです。あみとバケツを持って、近くの池や用水路に行くのが、小さいころからの私の楽しみです。ほぼ一年を通して行きますが、特に夏の時期にたくさん行きます。それは、卵からかえった魚が大きくなって、たくさんいるからです。

最近は、魚が眠っている夜の方がとりやすいという事が分かり、あみとバケツの他に、明るい懐中電灯が持ち物セットに仲間入りしました。晩ご飯を食べ終えたら、いざ出発です。

池に着くと、懐中電灯で水の中を照らします。そして魚影を見つけると、気付かれないようにあみを遠くに入れ、そうっと池のふちに押しつけます。池では、フナやモズクガニ、ザリガニやエビがとれます。池は広いし、あみが届く範囲がせまいので、なかなかとれません。だから、魚がとれた時はものすごくうれしくて、思わずガッツポーズをとってしまいます。

用水路で魚を見つけるのが得意なのは、妹です。妹がみつけてくれた魚に、私と祖母で総攻撃をしかけます。はさみうちが一番効率よく、魚がとれるので、三人の協力が欠かせません。

「ばあば、この水草の下であみを構えとってな」

「二人ともあみを入れて待っとって。今から追うけん」

私はすぐに二人に声をかけます。二人はもう慣れているので、すぐに動いてくれます。一人でとったのもうれしいけれど、三人で協力してとった方が、私はうれしいです。三人のチームワークがいいという証だからです。

とった魚の中でも、小さい魚や、弱っていたり、弱そうな魚は、元に戻してあげます。そして、気に入った魚だけ連れて帰ります。それでも私の家も祖母の家も、玄関や居間に水そうやバケツ、タライなどがずらりと並んでいます。そして、その魚たちに、学校に行く前に、

「おはよう、エサだよ。今日もみんな元気だなあ」

と言って出かけ、帰ってきたら、

「ただいま、今日も暑かったけど、大じょうぶやったか」

と話しかけます。特にナマズがお気に入りで、ずっと見ていても、全くあきません。

私の中では、最近、たくさん魚がとれていると思っているけれど、祖母は、

「昔はもっとようけ、いろんな魚がとれよったのになぁ」と言っています。言われてみれば、私が、五歳くらいの時に比べると、とれる魚の数が減っているなと実感します。だから、魚をこれ以上減らさないように、水を汚したりして、環境を悪くしないようにしていきたいです。

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