2017年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  則武 千鶴

【特別賞】もう海にゴミを捨てないで

「今日も、仲間が死んだ…」

ウミガメ族の「ガウ」が呟いた。人間達が、海に捨てたゴミを餌と間違えて、食べてしまったのだ。

このようなことがずっと続いている。みんな、腹をすかせてうっかり食べてしまうのだ。

「とうとう、俺とメガだけになったな…」

「ああ。昔はもっといたのにな…。それもこれも人間のせいだ」 「そうだ。人間は俺らの仲間を奪っていく」

「それも、くだらない理由でな」

人間を迷惑に思っている生物は、ウミガメだけじゃない。マグロやヒラメは乱獲されて減少している。

海底を掘られて、住み家や産卵場所がなくなっている生物もいる。また、ゴミによって死んでいく生物

も少なくない。…ゴミによって死んでいく…これほどかわいそうな事はない。

ついに、メガも死んだ。仲間と同じようにゴミを食べてしまったのだ。

「人間め…!許さない。死にたくない。ウミガメ族が滅んでしまう。どうしよう」

ガウは、頭を抱え悩んだ後、人間あてに手紙を書いた。

「人間の誰かさんへ、僕はウミガメです。あなた達が、海に捨てたゴミで仲間が死んでいます。もう、

僕には仲間がいません。海にゴミを捨てるのをやめて下さい。ウミガメ族のガウより」

ガウが書いた手紙は、「浦島太郎」という、おじいさんが拾った。浦島太郎は手紙を読んで、涙した。

あふれんばかりに、涙が出てくる理由とは、過去にあった。実は、まだ若かった頃、ウミガメを助けた

ことがあった。そしてそのウミガメに龍宮城に連れて行ってもらい、海の生物達と幸せな時間を過ごし

た。その時の事を浦島太郎は、一時も忘れたことはない。

そして、少しでもウミガメの助けになったらと思い、手紙を何枚も何枚もコピーして、至る所に貼

り付けた。ボランティアで海辺のゴミ拾い活動もした。ウミガメの手紙に心を打たれたのか、浦島太郎

の行動に心を打たれたのか、ゴミ拾いを手伝う人が増えていった。また、ゴミをポイ捨てる人も少なく

なった。

最近、ゴミをあんまり見なくなった。ガウの仲間も徐々に増えていった。どうやら、ガウだけでなく、
他の生物も喜んでいるようだ。 「成功したのかな…」

ガウは静かに微笑んだ。

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