【特別賞】水に生かされ、水と共に生きる
夏休みが始まる少し前、ニュースでダムの取水制限について報じていた。「水が不足する」というこ
とが、私には実感として湧きあがらなかった。
三月まで住んだ熊本は、火山があるので、「火の国」というイメージを持たれることも多いが、県内
いたる所から、一年中水が湧き出ている「水の国」でもある。水道水も地下水で賄われていて、〝蛇口
をひねるとミネラルウォーターが出る〞という人もいるほどだ。そんな豊かな生活を送ることを当たり
前に思っていたので、生きるための水が、限りある量の中から使わなくてはいけないものだという意識
が薄かったのかもしれない。
水がないと生きられない
。そんな、誰でも知っているようなことにハッとさせられたのは、学校の
授業で教わったり、ニュースで見聞きする環境汚染のニュースが、日本だけでなく、世界中で深刻な影
響を与えているからだ。以前、水を売っている会社に工場見学に行った。『山に降った水が、濾過され
て私達の所に届くまでに、二十年かかっている』という話を聞き、とても驚いた。だが何よりも、伐採
が進んだり、手入れが行き届かない森林が増え続けていることが不安に思った。人々の暮らしが豊か
になるのと反比例するように、きれいな水が減り続けている現実が心配だ。いつから、私達の住む日本
は、地球は、こんなにも汚れてしまったのだろう…。
『世界はひとつ』というけれど、本当にそんな気持ちをもって暮らしている人は、どのくらいいるのか
な。世界の国々に住む人は、自分の国のことには一生懸命になるけれど、周りの国のことは仕事の取引
相手くらいにしか思っていないのかな。みんな、一つしかない「地球」という星に住んでいるのに。
いつか、パスポートの要らない世界になったらいいな。国境が、県境や町の境くらいの感覚になれば
いい。みんなで、お互いの利益のことばかり優先するのではなくて、世界の、地球のことを最優先に考
えてあげられる社会になったらいいな。
二十年後、今日阿蘇の山に降った雨が、森で濾過され、私達の飲み水となる頃に、日本は、世界は、
地球はどんな姿をしているだろう。争いなどのない、平和な世界になっていたらいい。自然が豊かな星
になっていたらいい。きれいな水が飲めるといい。


