2016年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  青山 恵

【特別賞】水に生かされ、水と共に生きる

夏休みが始まる少し前、ニュースでダムの取水制限について報じていた。「水が不足する」というこ

とが、私には実感として湧きあがらなかった。

三月まで住んだ熊本は、火山があるので、「火の国」というイメージを持たれることも多いが、県内

いたる所から、一年中水が湧き出ている「水の国」でもある。水道水も地下水で賄われていて、〝蛇口

をひねるとミネラルウォーターが出る〞という人もいるほどだ。そんな豊かな生活を送ることを当たり

前に思っていたので、生きるための水が、限りある量の中から使わなくてはいけないものだという意識

が薄かったのかもしれない。

水がないと生きられない

。そんな、誰でも知っているようなことにハッとさせられたのは、学校の

授業で教わったり、ニュースで見聞きする環境汚染のニュースが、日本だけでなく、世界中で深刻な影

響を与えているからだ。以前、水を売っている会社に工場見学に行った。『山に降った水が、濾過され

て私達の所に届くまでに、二十年かかっている』という話を聞き、とても驚いた。だが何よりも、伐採

が進んだり、手入れが行き届かない森林が増え続けていることが不安に思った。人々の暮らしが豊か

になるのと反比例するように、きれいな水が減り続けている現実が心配だ。いつから、私達の住む日本

は、地球は、こんなにも汚れてしまったのだろう…。

『世界はひとつ』というけれど、本当にそんな気持ちをもって暮らしている人は、どのくらいいるのか

な。世界の国々に住む人は、自分の国のことには一生懸命になるけれど、周りの国のことは仕事の取引

相手くらいにしか思っていないのかな。みんな、一つしかない「地球」という星に住んでいるのに。

いつか、パスポートの要らない世界になったらいいな。国境が、県境や町の境くらいの感覚になれば

いい。みんなで、お互いの利益のことばかり優先するのではなくて、世界の、地球のことを最優先に考

えてあげられる社会になったらいいな。

二十年後、今日阿蘇の山に降った雨が、森で濾過され、私達の飲み水となる頃に、日本は、世界は、

地球はどんな姿をしているだろう。争いなどのない、平和な世界になっていたらいい。自然が豊かな星

になっていたらいい。きれいな水が飲めるといい。

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