2015年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  羽場 文彦

【特別賞】ドジョウと私とおいしい水

今年の春、とてもかなしいことがありました。わたしの家族「ドジョウ一ろう」がしんでしまったの

です。その少し前から、「一ろう」の体にボツボツができて、わたしのお兄ちゃんと同じにきびかなと

思いました。でも、だんだん元気がなくなって、泳がなくなりました。そして、同じ水そうの金魚にお

なかをつつかれて、あながあいてきました。かわいそうなので、バケツにうつしてあげました。次の日

の朝、お父さんが、

「ドジョウ一ろうがしんでいるぞ」

と言うので、急いで見てみると、白いおなかを上にしてぴくりとも動きません。さい後まで生きの

こっていた「一ろう」とも、お別れの時がきてしまいました。

ドジョウたちと出会ったのは、五年前の夏でした。北と市のオオムラサキ公園で行われたドジョウの

つかみどりにわたしとお兄ちゃんはさんかして、七ひきもらいました。家では金魚といっしょにかうこ

とにして、「一ろう」から「七ろう」まで名づけました。ドジョウたちは水そうの中を元気に泳ぎ回る

ので、金魚たちはだいじょうぶかなあと少し心配になりました。

ドジョウたちの立っぱな口ひげや、まん丸のきょとんとした目があんまりかわいいので、つい「く

くっ」とわらってしまいます。金魚のえさでも、いやな顔をしないで、よく食べます。立ち泳ぎをしな

がら水面のえさを食べる様子は、とてもかっこいいです。ある時は高くジャンプしすぎて、水そうから

とび出してしまったこともありました。水そうがリビングにあるので、わたしがべんきょうしたりピア

ノをひいたりするのを、ドジョウも水の中から見まもってくれていたことでしょう。

水道水はえんそでしょうどくしてあるので、そのまま水そうに入れると、金魚やドジョウがしんでし

まいます。水道水はわたしたち人間はそのままのめても、魚たちにはどくなのです。それにしても、わ

が家のドジョウたちはしあわせだったと思います。毎日おいしいこうふの水の中で泳いでいたのですか

ら。わたしも学校へ行く時は、いつもお母さんに水道の水を水とうにいっぱい入れてもらいます。その

水をのむと、とても元気がでます。

「こうふの水道水は、『平成の名水百せん』にえらばれたとてもおいしい水なんだって。山がおいしい

水をそだてているんだよ」とお母さんが教えてくれました。たしかにわたしの家からまわりを見回せば、

山ばかりです。安全でおいしい水道水がのめるのも、山や森のおかげです。わたしたちはしぜんのめぐ

みをたっぷりもらって、元気に生きているので、そのおん返しにしぜんをまもり大切にしていかなけれ

ばなりません。

食べ物はちがっても、こうふの水道水でいのちをつないできたドジョウとわたしたちは、本当に家族

みたいなものです。五年間、いろいろ楽しかったね。ありがとう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です