2004年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  市村 淳一

【ざぶん環境賞】川で感じた自然の大きさ

「うーん、うーん」

そのとき僕は、木陰のベンチで休んでいました。まるで死にそうな様子で、目がうつろに

なりながらうなっていました。

そのときはまだ、川の中で遊んでいました。水の流れに逆らって、川を下りながら魚をつ

かまえようとしていました。

少し経って、急に砂に視界をうばわれ、目の前が数秒真っ暗になりました。そのときわず

かに魚が見えたので、 「お、ラッキー」

と思い、魚をつかまえるために、静かに背後に回ろうとしました。でもこの行いが、一時間後

の醜い姿の要因になってしまったのです。 確かに一瞬は、

「無理だ、流される」など、不安が頭をよぎりましたが、そのときは

「魚をつかまえたい」という、欲が勝ってしまいました。

しかし、足を上げた途端、そのまま足を掬われ、体制が崩れ、流されてしましました。

流されている間、頭や背中に岩がぶつかり、ためていた空気をすべて出してしまいました。

その後も岩にぶつかる度に、もう出ない息がさらに出そうになり、とても苦しくて、この

時点で死にそうでした。

流されている間、何度も岩にぶつかるうち、体が反転し、やっと前を向けたと思うと、目の

前に、自分の身長と同じくらい大きな岩があったので、必死でよけようとしました。しかし、

自分がいた位置は、周りの大きな岩の間だったので、流れが急に早くなっていました。

「あ、もうだめだ」

と思い、何も暴れず、じっと待っていました。

しかし、なぜか自分の体が浮き上がったので、周りを見てみました。

すると、岩によって流れがせきとめられてできたうずによって、僕の体は浮き上がってい

たのです。

「はぁ、はぁ、助かった」

僕は助かった喜びと、助けてくれた自然への感謝の気持ちでいっぱいでした。少なくとも、

そのときは。

川から上がった後、よく考えてみると、自分の欲のせいもあったけど、実際流されたのは

川の流れと砂のせいで、助けてくれたのも川の流れなので、僕は自然の気まぐれで死にかかっ

たんだなと思いました。

僕は、この一日だけで自然の大きさ、人間の小ささを知った気がするので、この出来事はこ

の先、何があっても忘れないと思います

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