2011年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  野小生 真実

【特別賞】日本ジャンボリーに参加して

 

蛇口をひねると、当たり前のように水が勢いよく出てくる。当たり前のことが、ぼくはこの夏、すごく

ありがたく思えるようになった。

 

ボーイスカウトの日本ジャンボリーに参加した時だった。富士山のふもとにある朝霧高原の牧草地で

八泊九日で行われた。もちろん、電気もなければ、水道もない。テントをはって生活をした。テントの当 番の日は、朝四時におきて、ポリタンクを持って、配水車の前に並んで水をもらった。

 

その満タンのタンクの重かったことを今でも覚えている。二十キロ近くあるタンクを両手で持ち上げ、

テントまで必死で歩いた。一日分のみんなの水だ。生きていくための大切な水。水がなければ生きていけ ない。そんな思いでテントまでなんとかたどりついた。

 

その水で、まずは朝食づくりが始まる。ご飯をたくために、米をとぐ。そして、その不要になった水を

その場に流してはいけない。バケツの中にためておく。一日の終わりに、その水は、テントの場所から離 れた、捨ててもいい場所まで運んで捨てた。これがまた重くて大変だった。テントの場所の近くには決し て捨ててはならなかった。

 

なぜならば、ぼくたちがテントをはっている場所は牧草地だ。いつもは牛の生活の場。そこに生えてい

る草が牛のえさだ。ぼくたちが汚れた水をそこに流してしまうと、土にしみこみ、それを草が吸い、その 草を牛が食べる。その牛の乳をぼくたちは飲んだり、牛肉を食べたりする。結局、汚染されたものが自分 にもどってくるわけだ。

水は自然界のなかでは、常に循環している。きれいな水を手に入れ、安全な生活をするためには、自分

たちの水の使い方を常に考えて行動する必要がある、ということがよくわかった。

 

テント生活のあいだ、トイレはもちろん水洗ではなかった。シャワーも八泊のうち二度しか機会はな

かった。あとは、体を拭くくらいだった。いかに、生活の中で、水を必要な分だけしか使わず、無駄にし ないかということだった。

 

無事キャンプを終え、家に帰ったとき、蛇口をひねるだけで、水が「ジャーッ」と出たことがあまりに
もうれしかった。こんな機会がなければ、ぼくの中では、水はいつも蛇口をひねれば出てくるのが当たり 前で、水の大切さを考えることはなかったと思う。これからは、蛇口をひねる度に、この経験をもとに、 水の大切さを考える機会になるようにしたい。

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