2016年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  市村 淳一

【ざぶん文化賞】だいすきなコイ

ぼくのばあちゃんちには、みどりいろのおふろのようないけがある。そのいけには、一ぴ

きのオレンジいろのコイがすんでいる。そんなコイとぼくは、なかよしだ。

ぼくが、おもたいランドセルをせおって、がっこうからかえってくると、コイはかならず

ぼくのかおをみて、かえってきたのをよろこんでくれる。だから、 ぼくはつかれていてもにこにこしながら、

「ただいま」

といって、てをふっている。するとコイも、むなびれをうごかして、てをふってくれる。そ

んなとき、ぼくは、うれしくなって、げんきがわいてくる。

だいすきなコイだからといって、いつもこえをかけているわけではない。あさは、いけの

そこでじっとねむっていることがよくある。そんなときは、おどろかしたらかわいそうだか

ら、そっとしてあげている。

なつやすみになって、じいちゃんがとてもきたなくなったいけのそうじをはじめた。そう

じちゅう、コイはせまいたらいのなかできゅうくつそうにしていたので、ぼくは
「はやくそうじをおわらせてあげないと」 とおもい、いけのそうじをてつだった。

いけのなかにあった、くさくておもたいはっぱやどろのかたまりを、いけのそとになんか

いもはこびだした。あついひだったけれど、きゅうけいせずにがんばった。

一じかんくらいして、ぴかぴかのプールのようないけになった。 「このきれいないけだと、コイはきっとよろこぶだろうな」

と、わくわくしながらみていると、コイはよろこぶどころか、あまりうごかなくなってし

まった。えらをうごかすこともあまりせず、こきゅうをしているのかしんぱいになった。し

んぱいだったのでいえにかえれず、ゆうがたまでずっといけのそばでみまもっていた。

しばらくすると、おかあさんがむかえにきた。いえについてからも、コイのことがきになっ

てしかたがなかった。よるもコイのことがしんぱいでしんぱいでねむれず、ついにないてし
まった。十一じをすぎていた。ぼくは、 「コイをみにいきたい」

と、おかあさんにおねがいをした。おかあさんは、ぼくといっしょにコイをみにいってく

れた。ドキドキしながら、かいちゅうでんとうでいけをてらした。コイはおよがなかったけ

れど、ぼくをみると、いつものようにてをふってくれた。ぼくは、それをみて、あんしんし

てねむることができた。

つぎのひのあさ、いつもよりずっとはやくめがさめた。パジャマのままだったけれど、す

ぐにいけのコイをみに、ばあちゃんちまではしっていった。コイは、げんきにおよいでいた。

ぼくは、うれしくなって、たくさんてをふった。コイもげんきにてをふってくれた。

ぼくは、コイに「いつまでもいつまでも、げんきでいてほしい」 と、つよくおもった。

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