2017年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  徳田 明美,  未分類

【特別賞】畏敬の水

僕の住む島は毎年多くの台風が通過する為その度に非常時の備えをします。昨夏も想定していたの

で断水、停電になりましたが必ず復旧すると家族全員冷静でした。でも懐中電灯の小さな光の中、電

池ラジオの情報だけを聞いて過ごす時間は長く長く感じました。そして飲料水を含め、水の用途と優

先順位を家族で考えました。お風呂は先に入っていたので大丈夫、手洗いはバケツの水をお玉ですくっ

て、お茶碗は大きなボウルでため濯ぎ、トイレは大だけを流す、の絶対協力が決定しました。話を聴き

ながら断水も停電もいつものことで明朝には終わるのにと僕は、楽観的に判断し水の重要性、必要性を

理解しようとしませんでした。

翌朝、台風は去りましたが、断水、停電は継続したままです。あれだけ準備した水は底をつき、僕は

初めて根拠のない過信と危機感の欠落を後悔しました。新たな水を入手しようと公園で並びましたが、

バケツは水平に持たないとこぼれるし、持ち手は重みで指に食い込み痛くなるので急いで運びます。皆

で何往復もし、たっぷりの水を確保したのでお風呂に入ろうと浴槽に入れると、ぼくの膝までもないの

です。

「たったこれだけ?こんなはずじゃなかったのに」

と驚きました。一生懸命、夢中で用意した水がたいした量でなかったことは本当にショックでした。

これまで、シャワーの出しっ放しで母に「もったいない」と叱られたこと、自転車洗いでホースを使い

父に「無駄使い」と注意されたことを思い出し反省しました。ライフラインに依存し過ぎて〝湯水のように使う〞そんな言葉のまま、特に意識もせず惜しげもなくむやみに水を使い、ねぎらうことを忘れていたのです。それがどんなにぜい沢で資源への無関心、無頓着、そして冒とくだったか、水への敬意が弱かった自分が残念で恥ずかしくなりました。だから復旧し水道の水が出た時は、待ちこがれていた嬉しさで全身から感動したのです。時間と労力、手間をかけ工夫して手に入れた水は、一滴も無駄にしたくないし、できるだけ何事も少量で済ませようと考えるようになりました。水への愛着と大切さが湧くと大事に丁寧に使うことが当たり前で感謝の気持ちもあふれます。それからの週末は制服と靴の汚れと向き合いながらバケツの水で洗っています。決められた量の水だと生活用水量把握、経済観念、下水や排水処理技術への関心も芽ばえます。また、ゆっくり手洗いしながら、水にも心を込めるときれいになっていく過程でさわやかな気持ちになります。水の恩恵に生かされ、暮らしと地球環境がつながっていると自然のサイクルが教えてくれるのは無限だと思います。僕達の生命をささえ、公衆衛生を保ち、環境保全や自然維持、農漁業を育み、祭事や祈とうにも使われる最高の水。すべての土地を流れ、全世界

をつなぐ水は偉大でまさに畏敬です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です