2007年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  白川 郁栄

【奨励賞】海からのお礼

八月の、ある暑い暑い日に、大勢の人たちが海水浴をしに海にやって来ました。その人たちは、砂浜の

砂で遊んだり、海で泳いだり、みんな、大きな声でさわいで、はしゃぎながら楽しそうにしていました。

しかし、その中には、ジュースの缶やおかしのふくろ、たくさんのゴミが入ったふくろまで捨てていく人がいたのです。たくさん泳いで、遊んで、食べた海水浴客たちは、「また来たいね」「あー、楽しかった」

と言いながら、満足そうに帰っていきました。あとに残されたのは、たくさんのゴミの山です。

海では、海の生き物たちが、プンプンおこっていました。 「なんで人間は海にゴミを置いていくんだ!」

中には、悲しくて泣く者もいました。

それから三十分。今度は、三人の子供と、四人の大人がやって来ました。子供たちは、おかしを手

に持ったまま、わいわいはしゃいでいます。大人たちも、ジュースやペットボトルのお茶を飲んでいます。

「また、海をよごしに来たな、人間め!」

海の生き物たちは、けいかい心を弱めません。しかし、その人たちは、自分たちのゴミを、ちゃんとふ

くろに入れて始末しています。それどころか、海の中や、浜に落ちているゴミを、はあはあ息を切らしながら、ほとんど拾ってくれたのです。すごい行動に、海の生き物たちは、「えー!」「うそー!」とさわぎながら、とてもおどろいています。海の生き物たちは、 「こんなにやさしい人間もいたんだなぁ」

と言いました。

その人たちが帰ろうとしたそのしゅん間、海の生き物たちを代表して、十匹のイソガニたちが、

「これは、ほんの少しのお礼です」

と言って、その人たちに、世界一きれいだと思えるくらいの貝や、白くかがやいている、きれいなしんじゅをさし出しました。子供たちは、貝としんじゅを持って、 「わぁ、きれいな貝」「きれいなしんじゅだね」

と、はしゃいでいます。大人たちは、

「こんなにきれいな物、いただいていいのですか」 と不安そうに言いました。イソガニたちは、

「これだけでは、足りないくらいです」

と言いました。

「ありがとうございます、ありがとうございます」

大人たちは、何回も、何回も、その言葉をくり返しました。その人たちは、笑顔で、大喜びしながら

帰っていきました。そのと中で、三才ぐらいの長男が、にっこり笑って、手を大きくふってくれました。
イソガニたちも、

にっこり笑って、 「また、遊びに来てくださいねー!」

と言いながら、せいいっぱい、ハサミをふりました。他の六人も、ふり返って、手をふりました。

海の生き物たちも、その日の夜、祭りを開きました。屋台で、いろいろなゲームをしたり、おどったり

して、みんな、わいわいはしゃいでいます。 「海がきれいになった記念日」のたん生です。

 

 

 

 

 

 

 

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