【ざぶん文化賞】海への手紙-親愛なる海さま
2022年10月6日
先日、貴方はキラキラ波間に飛び跳ねる魚達と追いかけっこをしていましたね。
「みゃみゃー」と海猫達が、羨ましそうに騒いでいましたよ。
私はといえば、水平線近くを走る船を眺めて、遥か遠い異国の地に想いを馳せていました。
何故だか、この海のずうっーと彼方の知らない国の誰かに逢いたくて……
そうそう、この間、貴方からの返品の荷物が届きました。
それは、大型台風が去っていた翌朝に、私の住む町の海岸通りに面した道路に届けられていま
したよ。
よくもまあ、こんな物を貴方に贈ったものだと、我ながら呆れてしまいました。
母が私に言いました。
「貴方が怒って、吐き出したんだよ」と。
道路には、くずくずになった発泡スチロール、ペットボトル、汚れた片方だけのシューズ等のゴ
ミ、ゴミ、ゴミ。ゴミの山。
道路を清掃するおじさんたちは、竹箒で沢山のゴミと格闘していました。
道路近くの道に停められた軽トラの荷台にはごみ袋の山。
そんな風景を横目に見ながら、母の運転する自家用車で、出掛けた私。
どんよりとした、懺悔にも似た言いようのない思いが、私の中を駆け巡り、私を押しつぶしまし
た。
「ごめんなさい……」
友達なのに、知らんぷりの私。
誰でもなく、私が守ってあげなければならないのに、知らん顔をしてしまったね。
その時、
「帰ってきたら、浜、行こうか。きっと、まだ、ゴミだらけだよ」 母から救いとも言える言葉。
「うん!」と明るく答えて、貴方を見ました。
(キラキラ、キラキラ……)
貴方は笑って許してくれましたね。
「ありがとう」
たとえ、私ひとりでも、貴方を大事にするからね。
貴方はかけがえのない、私の友達だよ。
これからも、ずうっーと、ずうっーと友達。
気が向いたらで、いいよ。
返事、待ってます。


