【ざぶん文化賞】やどかりくんのお友だちさがし
ここは、日本海の岩ばです。なみが岩にざっぶーんとあたっています。岩のうちがわにし ずかなところがありました。
そこにやどかりくんがすんでいました。やどかりくんは、お友だちがいません。
ある日、やどかりくんはお友だちさがしにいくことにしました。
「いってきまーす」
といって出かけました。
「よいしょよいしょ。貝はおもたいな」
岩の水たまりのふかいばしょにつきました。
すると、そこにうみうしがゆっくり出てきました。
「わー。きみはだれ。へんな形をしているね。とげとげがいたそうだね」
とやどかりくんが言いました。
「うみうしだよ。このとげとげはやわらかいんだよ。てきからみをまもるために大じなんだ。 きみはだれ」
「ぼくはやどかりだよ。いっしょにお友だちさがしに行こう」
「いいよ。おもしろそう」
ふたりでお友だちさがしをはじめました。
海のふかいところにつきました。
とつぜん、黒い魚のむれが前をとおっていきました。
「ねぇねぇ、お友だちになろうよ」
すると、黒い魚のむれがもどってきて、
「いいよ」
とこたえました。
「みんなであそぼう」
「なにする」
「きょうそうしよう」
「わかめのところからぴんくのいそぎんちゃくまでね」
「よーい、どん」
そのときです。青いなにかがおいかけてきました。みんなは、
「たすけてー」
とさけびました。すると、黒い魚のむれが
「ぼくたちは、およぐのがとても早いんだ。だから、うみうしくんもやどかりくんもぼくた ちのせなかにのって」
ふたりは、いそいでぴょこんと魚のむれにのりました。
「しっかりつかまって。行くよー」
みんな岩ばの下にかくれてたすかりました。
「もう、かえろう」
みんながこえをそろえて言いました。
「ただいま、お友だちをさがしてきたよ」
「そう。お友だちできた?」
と、おかあさんがききました。
「うん。うみうしくんと黒い魚のむれ。青いなにかにつかまりそうになったの」
「それはね、人間のあみよ。つかまらなくてよかったね」
やどかりくんは、ほっとしてねむりました。
なみがほとんどないしずかな海の夜でした。


