【特別賞】浜辺のパトロール
ぼくの部屋に、一枚の小さな賞状が飾ってあります。
それは、ぼくが小学二年生の時に担任の先生からもらった、手作りの賞状です。
ぼくは、三年生の春に福井県に引っ越してくるまで、兵庫県の西宮市に住んでいました、家からすぐ
の所に、映画『火垂るの墓』の舞台としても知られている、御前浜という海辺がありました。ぼくは友
達や家族とよく御前浜に行って遊んでいました。 ある日、友人と二人で砂浜にくり出したぼくは、ふと
「浜辺をパトロールしよう!」
と思いつきました。友人もすぐに面白がって、はじめは警察ごっこのつもりで浜じゅうを歩き回りま
した。
するとそのうち、足元に色々な物が落ちている事に気がつき、大きな袋にそれらをどんどん拾って入
れながら歩きました。
空き缶やお菓子の袋といった、ぼくらにもなじみの深い物から、ガラスの破片や金属など、刺さった
りしたら危険なゴミもありました。
いつの間にかいっぱいになった袋をもって、ぼくらは小学校へ向かいました。まだ職員室にいた先生
にそれを見せて、誇らしげにパトロールの報告をしたところ、翌日クラスの皆の前で表彰式をしてくれ
たのでした。
うれしくなったぼく達二人は、それからも何度も「浜辺のパトロール」をしましたが、今日は異常な
しと言える日は一日もありませんでした。つまり、拾っても拾っても、浜には毎日ゴミが落ちていたの
です。
福井県に引っ越してきてすぐ、ミクニサンセットビーチでゴミ拾いをするイベントに、両親と参加し
ました。
場所が変わっても、やはり大量のゴミが落ちていることに変わりはありませんでした。
ゴミ拾いのイベントは、主に海開き前の砂浜の美化が目的でしたが、これら大量のゴミが海に流され
ること、あるいは海から流れ着いていることを考えると、夏に海で遊ぶぼくらの気分が良ければそれで
いいとはとても思えません。海の中にもたくさんの生き物たちの日々の暮らしがあります。
わざわざゴミを拾う「パトロール」や「イベント」なんて必要のない、きれいで安全な海は実現不可能
なのでしょうか?
ぼくはそうは思いません。なぜなら、ゴミはすべて人間が作り出し、捨てているものだからです。
なるべくゴミを出さないように買い物や生活の工夫をして、出したごみは決められた方法を守って処
分する。屋外で出したゴミは忘れずに持ち帰る。
たったこれだけのことを一人一人がすればいいだけなのです。 僕が大人になってパトロールの賞状を見たときに
「昔ゴミ拾いをしていたなんて信じられない」 と思える世の中を実現したいです。


