2014年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  千葉 修平

【ざぶん文化賞】タイ(鯛)の宝物

どこかの海に、子どものタイがおりました。その子は、まだ子どもなので、海草の森でく らしていました。

ある日、タイくんは、散歩に出かけた先で、海の底で変な物をひきずっているタコに会い ました。

「ねぇ、タコさん。その手に持っている変な物は何?」

と、タイくんはたずねてみました。

「これは私のお家です。宝物なんです。あなたには宝物がないの?」

タイくんは考えました。

「ぼくの宝物ってなんだろう」

考えても思いつきませんでした。そこで、自分の宝物を探す旅に出る事にしました。 旅に出て、最初に出会ったのがトビウオです。みんなで飛んだり泳いだりしていました。 タイくんは、早速、話しかけてみました。

「ねぇねぇ、みんなの宝物は何?」

トビウオ達は口々に言いました。

「この、空を飛ぶヒレさ!」

「これで敵からにげるんだ!」

タイくんは自分のヒレを見てみました。

「ぼくのヒレはいいヒレだけど、宝物ってぐらいじゃないなぁ」

タイくんはトビウオ達に別れを告げ、どんどん泳いで行きました。

そうして、泳いで行くと、イセエビに出会いました。宝物は何かと聞いてみたら、 「ヒゲじゃ。武器にもなるんじゃ」

と、答えてくれました。タイくんは、

「ぼくにはヒゲないしなぁ」

宝物を探すって難しいと思いつつさらに先へと進んで行きました。

いつのまにか、ずいぶん遠くまで来たようです。心ぼそくなってキョロキョロしていると、 ウナギが通りかかりました。

「ウナギさん、ここはどこか知ってる?」

「あら君、ずいぶん遠くまで来ちゃったね、君のお家はあっちの方よ」

「ありがとう。ところで、ウナギさんの宝物は何?」

「宝物…、それを産むために、もっとずっと遠い所へ行くところよ。私の宝物は卵なの」 「そうかぁ。がんばってね」

遠ざかるウナギを見送って、タイくんは、お家に帰ることにしました。

海草の森に帰ってきて、タイくんは気付きました。もう森を出て生きていけることに。そ して、旅をして気付いた事があります。

 

「おいしいご飯がいっぱいあって、過ごしやすい、ここが一番だなぁ」

ふるさとの海が一番良い。

このきれいな海が宝物だと、タイくんは思っています。

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