【ざぶん環境賞】ネパールで知った水
僕が今年の三月まで暮らしていたネパールでは、水道設備が整っていない場所が少なくありま
せん。僕は全寮制の小さな学校に通っていたのですが、そこにも水道はありませんでした。そこ
で、穴を掘って貯水そうを作り、そこに貯まった雨水でしのいでいました。
しかし、雨水が尽きると生徒全員で三十分も離れた所に流れる川に、歩いて水汲みに行かねば
なりませんでした。ネパールには雨季と乾季がありますが、特に乾季にはほとんど雨が降らず、
ほぼ毎日水汲みの生活でした。
水を運ぶのは、重くてとても大変な作業です。さらに、子ども一人が一回で運べる量はわずか
二十リットル程度。この学校に通い始めた頃、日本に住む知り合いの人にこのことを話すと、
「日本では、水洗トイレを一回流すだけでも二十リットルは使ってしまうよ」
と笑われ、とてもショックを受けたのを覚えています。
飲み水、料理、手洗い、お風呂、トイレ、掃除、洗濯…。水は生活のために欠かせません。し
かし、水がなくなればまた水汲みに行かなければならないというプレッシャーから、僕たちはで
きる限り水を節約しました。例えば、体洗いと洗濯は、水汲みに行った川で済ませてしまいます。
冬は川の水の温度が低く、とても冷たいのですが仕方がありません。また、日々の手洗いについ
ても、ひとすくいの水できれいにできる技を覚えました。
しかし、川の水や手作りの貯水そうに貯めた雨水を使う一番の問題は、不衛生であるというこ
とです。飲み水や料理に使う水はふっとうさせるのでまだいいのですが、口をゆすいだり、手を
洗ったりする水は消毒しないので様々なばい菌が含まれています(貯水そうの水の中にねずみの
死がいを発見したことも何度かありました)。それが原因で病気になり、命を落としてしまう人
も少なくありません。実際、僕自身何度もげりをしましたし、日本帰国直後には、腸チフスと出
血性大腸菌O157を同時に発症し、隔離入院を余儀なくされました。
この夏、日本では雨が少なく、水が不足している地域がたくさんあります。しかし、ニュース
で節水をしきり呼びかけているのに、僕の周りの人々は、それを気にもせずどんどん水を使い続
けていました。その様子を見て僕は思いました。
「この人たちは水道から水が出なくなったら、どういう生活になるのか分かっていない」
僕はネパールで学んだ水のありがたさを日本の皆さんに伝えるために、この作文を書きまし
た。水がなければ、人間は生きることができません。そして、水がきたなければ病気になってし
まうのです。皆さん、日本のきれいな水道水に感謝しましょう。そして、水は大切に使いましょ
う。


