2012年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  石田 有賀里

【特別賞】ふるさとの川

 

小学校の頃、お盆になると毎年、木屋平の親せきに出かけて行った。山のおじいちゃんは、祖父の兄で、家の前には清流穴吹川が流れている。水が温かくなった頃、父や親せきのおじ達と河原へ出かけて行き、冷たい水に飛び込んで水遊びをすることが楽しみだった。水中メガネをつけ水に潜ると、鮎やじんぞく、イダなどの川魚がたくさん泳いでいた。

 

八年連続西日本一の水質を誇る穴吹川は、上流に木屋平しかなく、人口も八〇〇人程しかいない。今で

こそ上水道が各家庭に来ているが、昔はそれぞれの集落ごとに、山の沢から太いパイプで水を引いてい

た。今でも庭先に「どおけ」と呼ばれる貯水槽が、上下二段に水をたくわえており、冷たい山の水を生活の中に活用している。

 

上の水で食品を冷やし、下の水は手洗いや野菜の土を落とすのに使われている。丸太のすいかや一升び

んに入ったゆず酢は、水の中で冷たくひやされている。当然、洗剤などは使わないので、使った水はそのまま谷へ流されても何の問題もない。

 

山の人達はよく「水を汚したら、下の人に申し訳ない」という。それは、汚い水を下流へ流さない、昔

からの気くばりそのものだと思う。では、下流の人達はどうだろうか。

 

徳島県は下水道の整備率が全国でも最低レベルである。県の人口はそれほど多くないのであれば、各

家庭から出る生活廃水を浄化する施設を大がかりにしなくても、合併浄化槽の設置を進めていけばいい

のではないか。そうすれば各家庭から出される水はきれいなものだし、たくさんのお金を使わなくてもすむのではないかと思う。ぼくの家は合併浄化槽を使っている。だから浄化槽のそばを通っても臭わない。

だから、排出される水はとてもきれいなのだと思っている。

 

小学校4年生の時、吉野川で「川ガキ養成講座」の行事のひとつ、カヌー体験をしたことがある。全国

からたくさんの川好きな人達が集まり、お祭みたいににぎやかだった。河原でキャンプをして、カヌーで水の上を渡る。普段見ている景色を川面からながめると、水のきれいな場所で育って良かったなあと思った。

 

今年もまた、全国からたくさんの川ガキ達が、穴吹川や吉野川で夏を楽しんで帰っていく。いつまでも

ぼくたちの、ふるさとの川が清流であり、たくさんの人達の声や、ざぶんと飛び込む水の音がひびく、そんな場所であって欲しいと思っている。

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