2005年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  静観朋恵

【奨励賞】一度死んだねったい魚

 

ぼくの家には、たくさんの小さなねったい魚がいます。

お兄ちゃんは前から、下くちびるの出たユーモラスな体のねったい魚が、ほしいと言っていた。

でも、下くちびるが出ているとえさをたくさん食べて、ほかの魚が死んでしまうから、お父さ

んに、

「だめだ」と買ってもらえなかった。

 

夏休みに入って、家族四人でカインズに買い物に行った時、ねったい魚の所に見に行きま

した。

あきらめきれないお兄ちゃんは、ほんとにえさを、たくさん食べてしまうか、店員さんに聞

きました。

「そんなことしないよ」

と言ってもらい、やっと下くちびるの出た、細長くて、ひれが赤くてきれいな魚を二ひき、買っ

てもらえることになりました。

 

その魚は、ゴールデンテルモゲニーと言うむずかしい名前でした。ぼくまでうれしくて、

魚の入ったふくろを持ちたかったけどお兄ちゃんにまけ、がまんしました。

 帰りに幸田まで、ラーメンを食べに行くことになりました。

ぼくは、お父さんに言われ、車があつくて、ゴールデンテルモゲニーが死んでしまうかもし

れないので、ふくろの中に氷を入れて行きました。

 

そして、車に帰ってゴールデンテルモゲニーを見たら、二ひきともひっくりかえって、うい

ていました。 「死んじゃった」

ぼくは、泣きそうなくらいかなしくなり、かわいそうなことしちゃったと思いました。

 

お母さんもふくろをながめて、かなしそうにしばらくしていましたが、手で魚の入ったふ

くろをあたためだしました。

「どうしたの」

とぼくは、お母さんに聞くと

「もしかしたら、水がつめたすぎて・・・」

といっしょうけんめいあたためていました。しばらくすると、一ぴきのかわいい赤いひれがう

ごきだして、

「あ、うごいた」

「か死じょうたいだったね」

とうれしそうにお母さんが言いました。それからもお母さんは、手であたためつづけ、一時間

くらいすぎたころには、二匹とも泳ぎだしました。ぼくは、生きかえってよかったと思いまし

た。そして、家に帰ってしばらくして、水そうに入れました。

 

 

ぼくは、しばらく、生きているか気になって、なんども水そうをのぞいていました。もちろ

ん、今も、ゴールデンテルモゲニーは元気です。 「うれしいな」

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