【奨励賞】僕をやさしく見つめる海よ
2022年9月22日
今年の夏、僕は初恋だった人にふられて、やる気のない毎日を送っていた。気がつけば、
もうお盆だ。この日、僕は海辺にある祖母の家に行った。お墓参りを済ませた僕は、海へ向かっ
た。
いつも僕が海を見て思うことは、僕の体も、ほぼ水でできているんだよなってことだ。今、僕
は約六十パーセントの水で立っていて、今、僕の目の前に僕等の捨てたゴミが、大量に浮んで
いる海があった。僕はその海を眺めながら、そのゴミをどうしようかと考えていた。
僕はふと、ゴミについて一番印象に残っていることを思い出した。友達が空き缶をポイ捨て
したときのことだ。その頃、僕はポイ捨てすると、警察にタイホされるものだと思っていたの
で、
「そんなことしたら、指紋調べられてタイホされちゃうよ!」
と、金網にはさまった空き缶を、がんばってとろうとした。すると、友達が、
「まあちゃん、まだそんな風に思ってるの?」 と、驚かれたことを思い出した。
この海に浮いているゴミを、このまま僕が見て見ぬふりをしても、僕はタイホなどされや
しないのだ。そんなことを思いながらも、僕は気がつくと海の中にいて、ゴミを握り締めてい
た。服がビショビショに濡れて、あまり気持の良い感じはしなかった。
僕の周りでカモメが「ありがとう」と言っているかのように、ビショ濡れになった僕を見つ
めた。やさしく僕を包む海にふれ、急に僕の心の押し入れにしまっていた気持が溢れだした。
「この恋をあきらめたくない!」 そう思う気持が、僕を海へと叫ばせた。 「太陽の馬鹿野郎ぉー!」
そう言ったら、とてもすがすがしい気持ちになった。青春ってこんな感じだなって感じたとき、
僕の中の約六十パーセントの水と海の水が、かすかに溶けあう感じがした。


