2016年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  森下 優理

【特別賞】てつのくじら館で思ったこと

僕は海のない山梨県で生まれましたが、僕も家族も海が好きです。それも瀬戸内の海に魅せられてこ

こ三年、夏休みに瀬戸内の島々に出掛けています。その際に立ち寄った広島県呉市でのことです。目の

前に大きな鉄の鯨が現れました。「てつのくじら館」という、海上自衛隊呉資料館でした。そこで僕は

海の兵器について知りました。

常に隠密行動ができ、センサーで動く標的も追いかけ、爆撃するホーミング魚雷を持つ優秀な潜水

艦は、あらゆる目的で世界各国で使われているそうです。「てつのくじら館」では実際に使われた潜水

艦「あきしお」が展示されていて、僕はその日初めて潜水艦に乗りました。艦内は想像以上に狭く、中

学生の僕でも狭く感じたのだから、実際に「あきしお」に乗って任務を遂行した乗員にとっては、もっ

と住みにくく感じたのではないかと思いました。

また、「てつのくじら館」では潜水艦だけでなく、戦後日本の復興を影から支えた掃海部隊の活躍

も知りました。掃海とは、戦争中に日本海に設置された、海中の地雷と呼ばれる機雷の除去をする仕

事のことです。展示されていた機雷を見て、僕はまずそのサイズに驚きました。種類によって大きさ

は様々でしたが、一番大きかったのは運動会のとき使われる、大玉以上の大きさでした。そんな機雷の

数々を、音波や震動を送ることで爆発させ、除去したという記録がありました。しかし、小船に乗った

掃海部隊の一人が機雷まで突っこみ、自らの命を犠牲にし、機雷を除去したという記録を見たときは第

二次世界大戦の特攻隊を思い出し、悲しくなりました。その他にも作戦の失敗で、掃海部隊の人々七七

人が機雷の犠牲になり、亡くなったそうです。

僕はだんだん切ない気持ちになりました。海は生物が初めて誕生し育った場所、地球上に住む生命の

母であり、聖地であるのに、機雷の爆発を受けたり、核兵器などの実験場所にもなっているからです。

とても小さかった生命が奇跡のような進化を繰り返し、大きく賢く成長し人間となった子供達が、自分

を戦場にし、潜水艦や機雷で激戦を始めたら、母はどんな思いなのかと想像しました。人類の発展とと

もに、人や動物、地球を破壊する兵器をどんどん進化させているのが現実です。自国の利益を重視する

あまり、今も日々海では領域を主張し、緊迫が続いています。母なる海の恵みを奪い合う時代に、終止

符を打つことが僕等の仕事だと思います。僕の知らなかった海上自衛隊の日々の尽力に感謝しながら、

僕は僕なりに生命の母である海と、平和について模索してみたいです。

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