【奨励賞】ぼくらは兄弟
「全然つれないね」いつもなら、たくさんつれる場所なのに、(おかしいなあ。)ゆうたとかずきの兄弟は不思議に思っていました。もう朝から5時間も、何もつれないのです。そんな時、ゆうたのうきがピクンと動きました。そして、つりざおの先もちょこん、ちょこんと動きました。
「来たぞ」上手に、それをつり上げるとそれは小さなかめでした。かめなんて一度もつれたことがなかったので、二人は大喜びしました。でもどうやら様子が変です。かめは、バケツの中で何か言っています。
「ひどいじゃないか、兄きにむかって、それはないだろ」
たしかにそう聞こえます。ゆうたとかずきは顔を見合わせてしまいました。 「兄きだって。ほくらは二人兄弟だぞ」
ゆうたが少しおこっていいました。するとかめは、鼻で笑って
「人間は、これだからこまる。人間は何から生まれたか知ってるか?」
と聞くのです。二人はすぐに 「さるから生まれたに、きまってるよ」
ととくいげに答えました。すると今度は、おもしろそうに笑ってかめは聞きました。
「じゃ、さるは?」
「……」二人は答えにこまってしまいました。
かめは、何も答えない二人にむかってこんなことを教えてくれました。
地球上の生き物は、みんな海から来たんだ。海にできた小さな生き物が、だんだん進化して、おれやお前達になっているんだよ。だから、海が母さんならおれ達は兄弟だろ。地球上の全ての生き物は、みんな兄弟なんだよ。でも、人間はそんなことわすれている。どんどん水をよごして、みんなの母さんをいじめている。おれが今日ここに来たのも、それを伝えるためなんだ。
二人は、おどろきました。自分達とかめが地球という家族の一員だったからです。本当に兄弟だったからです。でも同時に、自分達がとてもはずかしくなりました。
地球には、たくさん水があるし少しぐらいよごれたって平気だと思っていました。たくさんあるんだもの、なくならないよとも思っていました。でも、かめの話しを聞いて、それはまちがいだったと反せいしたのです。
かめの話しを聞いてから見た海は、つめたいのに、なんだか暖かくてやさしく見えました。
「ありがとう、兄き」
ゆうたとかずきは、バケツからかめをすくってそっと海へ帰しました。かめは二人に、
「じゃ、たのんだぞ」と言って帰っていきました。二人はかめを見送りながらみんなの海を大切にしたいと心から思いました。


