2013年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  小辻 希,  未分類

【特別賞】海のきらいな王さま

ある所に、海辺の小さな国がありました。その王さまは水が大きらいでした。もちろんおフロもきらい

で、朝、顔を洗うのもいやで、こっそりサボっていました。そんなわけで、とてもくさい王さまでした。

「あぁ、困ったなぁ」と、大臣が頭をかかえていると、

「こうしたらどうでしょう」と、お城のコックさんが、言ってきました。それは、思いきって、王さまを海に入れてみよう、というものでした。大臣は 「それはいい!やってみよう」と、言いました。

次の日、朝早く、王さまがまだねぼけている時に、お城のみんなでくさいのをがまんして、海に連れ

て行きました。うきわをつけて「そうれ!」と、みんなで海にほうりこみました。
「うきわがあるから大丈夫

「海に入ればなんとかなるって!」

みんなで見ていると、なぜか王さまがおぼれています。いつのまにかうきわが外れてしまったようです。

王さまがさけんでいます。

「助けてくれー!」

「たいへんだ!」

「このままではおぼれてしまう!」お城の人たちがあわてていると、 「ぼくらにまかせて!」

どこからともなくふしぎな声が聞こえてきました。

「おや?王さまが泳いでるぞ。」 「おかしいな。王さまは泳げないのに」

おフロに入るのもいやな王さまが泳げるわけがありません。みんながおどろいていると、

「王さまの下に魚がたくさんいるぞ!」

「さっきの声は魚たちだったんだ!」

王さまのまわりに集まった魚たちは、泳ぎ方を教えています。

「右手はこうするんだよ!」

「そうそう、上手だね」

「ところで、君ちょっとくさいね」

「ぼくもさっきからにおうなと思っていたんだ」

周り中の魚たちからくさいといわれた王さまは、はずかしくなりました。 「ちゃんと体は洗っているかい?」

「あ、もうすぐ陸だよ!」

「また遊ぼうね」

「こんどはきれいにしてきてね!」

王さまを浜辺まで送ってくれた魚たちは、うろこをキラキラ光らせながら海に帰っていきました。

それから王さまは海がだいすきになりました。おフロも毎日入るようになりました。今日も、王さま
は、海で、魚たちと一しょに遊んでいます。

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