2012年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  小森 洋仔

【特別賞】復興

あの三月十一日の東日本大震災の何日か前、僕は、家から少し離れた所にある川にいきました。その

時の川は、とてもキレイでした。水は透きとっていて、川の底まで見えます。大きい魚もいっぱい泳いでるし、亀も見たと友達がいっていました。何も心配する事なく川に入り、魚をとろうとしたほどキレイだったのです。

それから数日後、あの大震災がおきました。テレビにうつるニュースには、大きな津波が町をのみこん

でいく映像も多くあり水は百パーセント安全じゃない、時に人々に牙をむく事があると感じました。大

震災から何ヶ月かが過ぎ、久しぶりに川へ行きました。そこは、前来た時の姿とは、まるで違う姿に変

わっていました。崖崩れして落ちてきた木が、川の中央にずっとしずんでいます。あんなにいっぱいいた魚は、ほとんど見あたりません。その時は、まだましな方でした。

それから少したつと次は、すごい大雨が福島をおそいました。その後、川へ行くと、もっとひどい姿に

なりました。崖崩れで落ちた木は、三十メートル程度先の、橋の下まで流されました。魚は、一匹も見つけられませんでした。

川の水はにごり、底は全く見えません。その時ぼくは、 「あのキレイな川は、二度と見れない」と思いました。

もう一年半たちました。川の生き物たちは、あきらめていませんでした。川は、この一年半で少しずつ

よみがえろうとしています。どろでにごった水は、だんだんとすきとおってきたのが見てわかります。一回いなくなった魚たちも、数を増やしてきています。最近は、亀の目撃情報もあります。その川で釣りをすれば、わずかな確率で魚を釣る事もできます。

この川は、津波にのみこまれた町と一緒だと思います。被災して、もう復活はできないくらいボロボロ

になっても、たくさんの人達の力で少しずつ復興してきています。川が復興しているように、町も復興しているのです。いつになるかわからないけど、川が元のよう…いやそれ以上にキレイになった時、被災した町もいままで以上の強い絆で結ばれ、震災前より一まわりも二まわりも強くなると、僕は思います。

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