2010年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  山河 麻衣

【特別賞】水そうの中のキンパチ

「じゃあね、キンパチ。明日ね」

放課後、私はキンパチに手をふった。

キンパチとは、一、二年前から飼われている金魚の名前だ。四年生の時、担任の先生が前のクラスでも

飼っていたので、新しいクラスでも飼おうとした金魚の名前がキンパチで、性別も知らされていない。

水そうの中で泳ぐすがたが、このクラスではめずらしく、じゅ業中も水そうをのぞく人がたくさんい

た。

でも、一ヶ月を過ぎてくると、係の人たちしかめんどうをみようとしなくなってきた。私のように係で

はないが、めんどうをみようという人もいた。「なんでだろう。かわいいのに」そう思った。

ある日のこと、

「えさ、あげていい?」

私が係に聞くと、

「いいよ。ちょうどあげようと思ってたから」

と返事をしたので、えさをあげようとした。そして、水そうの上に手を出した時、

「わっ、すごい!」

キンパチが、口をパクパク、パクパク、えさをあげていないのにその動きをした。 「本当におなかがすいていたんだ。なんかすごいなぁ。金魚って」

新しい発見ができた。

次の日も、その次の日も、キンパチはおなかがすいているとパクパク、というように口を動かした。

「かわいい。しかも、とってもおもしろい」

楽しい日が過ぎた。

一年と二ヵ月後ぐらいに、キンパチは死んでしまった。 悲しかった。三日間ぐらいは教室がさびしく感じた。

私はキンパチに会い、「水」というものがとても身近に感じ、いろんな思い出の中に関係している、と

ても大切なものだと思った。そして、「水」が好きになった。

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