【特別賞】今年の海水浴
「おーい、ボートを買いに行くよー」
お父さんの声を聞いて、わたしはとびあがるほどうれしくなりました。その日は、夏休みに海に行っ
て使うボートを買いに行く日だったのです。買ったボートは、自分と小一の弟が一しょに乗れる、大きなボートです。ハイビスカスが印刷されていて、青いオールもあるボートです。わたしは海水浴が楽しみで楽しみで、仕方がありませんでした。
いよいよ海水浴当日です。ところが朝から天気が悪く、波はあらいし、冷たい風がピューピューと吹い
ていました。それでもわたしは、 「早く海に入りたい」
と、ずっと思っていたので、急いで着がえて海に入りました。いよいよボートに乗る時が来ました。し
かし、少し海がんにボートを置いておいたら、とつぜん強い風が吹いて、ボートがおきへ飛ばされてし
まいました。
お父さんがクロールで取りに行っていても、ボートはどんどんおきへ行ってしまいます。その時、ボー
トのことはもちろん心配だったけど、お父さんがおぼれないか、とても心配だし、こわかったです。結
局、ボートは見えなくなるほど、おきへ流されてしまいました。けれど、お父さんがぶ事にはま辺にも
どってこられて、本当に安心しました。ボートが流されて、とても悲しかったです。 泣いているわたしと弟に、お父さんが、「海でつりをしよう」
と言いました。わたしは、うれしくなりました。車でつりをする所に行きました。つりの用意をしてい
るころには、もう天気はよくなり、波もおだやかになっていました。ボートをおきへさらっていったさっきのあの暗い海とは全くちがって、同じ海とはとても思えませんでした。
生まれて初めての海づりは、つりぼりとは全くちがいます。自ぜんで育ったあじをたくさんつりました。
お父さんはなんと、きすをつっていました。そこには、プロのつり人まで来ていました。たくさんの魚がいて、シマダイやきすがつれたのは初めてだから、びっくりしました。この広い海で、場所をかぎられずに自由に泳いでいた小さな魚がつれると、とてもうれしくなりました。
たった一日で、果てしなく広がっている海のこわさも、楽しさも、いっしょに知った海水浴でした。わ
たしは海のない長野県に住んでいますが、今年の海水浴で、海のすごさがよく分かった気がします。


