2009年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  水本 和宏

【特別賞】八丈島が教えてくれたこと

「海の中は、こんなにもきれいな世界なんだ」

僕はこの夏、八丈島で生まれて初めてシュノーケリングを体験した。魚の青や銀、うにの紫、クラゲの

白、ふぐの黄と黒、海の中にはいろいろな色があった。魚のうろこが光を放っているようにも見えた。きれいだとは聞いていたが、予想していた以上の海だった。

僕の住んでいる山梨県には海がない。海に行くためには、となりの静岡県に行くのだが、ここの海とは

全く違う。砂浜のところどころに大量のゴミが落ちていて、海水も透明とはいえない。少し潜ったとしても、魚なんて全く見えない。同じ海でもずいぶんと違うものだ、と思った。

「学校が終わったらすぐに海にも山にも行くことができるんだよ。部活前に一泳ぎさ」

友達になった島の中学生が僕にこう言った。「信じられねぇ」と思った。彼の名は潮(うしお)だ。

変わった名前だが、漢字を見て納得した。海を近くに感じる名前だ。八丈島の人々は、僕たちよりもよ

り自然の近くに生きているということが彼の名前からもわかる。潮君の言葉を聞いて、「毎日、あのきれいな海の中の景色が見られるのか」と僕はとてもうらやましく思った。

しかし、他の島の人たちの話を聞いていくと、決してよいことばかりではないこともわかってきた。八

丈島では魚を捕って生活している人も多い。魚は天候でたくさん捕れる日もあれば、全く捕れない日も

ある。また、台風や津波が襲ってきたときには、島中が水浸しになってしまう。八丈島に行った初日、スコールで道路が水浸しになり、川のようになっていたことを、僕は思い出した。

五日目の夜には、風雨や高波のしぶきが飛び散る中、一夜を過ごす体験もした。アナウンサーが外で

台風の実況中継をするような、荒れ狂う海のそばで寝たのだ。そんなときの海は、昼の穏やかで魚たち

がゆっくりと泳いでいる海とは全く違う。暗い海を見ながら、「眠れるかな」と不安に思って床についたが、昼間の疲れでいつのまにか眠っていた。

水は、人が生きていくためには欠かせないものだ。しかし、人々の生活に大きな被害をもたらすことも

あれば、今年の関西地方の大雨のように、命さえ奪ってしまうこともある。このように、自然は僕たちに喜びや安らぎを与えることもあれば、悲しみを与えることもある。

僕が住んでいる山梨県も自然がいっぱいだ。周りを見渡せば、緑深い山や、まだまだきれいなせせら

ぎだってある。八丈島の満天の星空には負けるけど、星だってたくさん見ることができる。こういった自然とともに生きていることは幸せだ。自然からの恵みに感謝しながら、自然を大切にしていかなければならないと思う。まず僕たちは、川や海にあるゴミを少しずつ減らしていくよう、心がけなければならない。そうすれば、きっとたくさんの場所が八丈島の海のように、僕たちに感動と喜びを与えてくれるはずだ。そんなことを、八丈島という小さな島が教えてくれた。

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