【特別賞】ラフティング
「冷たっ」
川の水に手が触れたのは初めてだったので、あまりの冷たさにぼくは手を引っ込めた。学校のレクリ
エーションでラフティングのために川に来ていたぼくはとてもわくわくしていた。季節は秋。気温も下
がり始め、冷たい風が吹いていた。ウェットスーツを着ているとはいえ、そのときの冷たさは体が震え
るほどだった。
準備を整えようやくゴムボートに乗ったぼくは、川から見るいつもと違った景色をすっと見ていた。
最初は緩やかだった川の流れが急に険しくなり、ごつごつした岩が川の底から顔を出していた。急に揺
れ出したゴムボートに必死につかまった。
流れが再び緩やかになると、職員の方から水に入っていい許可が出て、みんなが次々に入っていった。
ぼくも入ろうと思ったが、今までしたことのない体験に少しためらった。でも、やってみたい気持ちが
湧き上がって目をつぶって飛び込んだ。
その瞬間、目の前が暗くなった。「やばい」と思ったが、すぐに浮上して「はっ」と息をした。
目を開けたとき青い空が広がっているのが見えた。とても気持ちがよかった。それは、お風呂でもな
くプールでもなく、ただ自然というものの、心地良さを感じていた。川の流れに流されるのがこんなに
も気持ちいいとは知らなかった。川の中を見ると、とても透き通っていた。 ラフティングも終わりにさしかかったところで、
「ここらへんにはイトウがいるかもしれないから見てごらん。」
と職員の人が言ったのでみんなで一緒にイトウを探した。この川にはいろいろな生き物が住んでいる。
イトウだけではなくニジマスやヤマメなどたくさんの魚がいる。家の近くにも川が流れていて、この時
期はよく魚釣りに行く。そんなことを思いながら終了地点に着いたとき、僕はぐったりと疲れていた。
疲れていたが、あの川の気持ちよさはしっかりと残る体験になった。


