【特別賞】水の不思議
「水の電気分解」をご存知だろうか。水に電流を流し、水素と酸素に分解する実験である。中学二年 で学習した分野だが、今まで蛇口をひねれば出てくる身近な存在だった液体の「水」が一瞬で別の気体 に変わる現象は、とても不思議で印象に残っている。
夏休みのある日、私は父と「水の電気分解」について話していた。
「あの実験、とっても面白かったな」
「じゃあ、今からやってみるかい?」
「え。できるの?実験器具は…」
「もちろん、持ってるさ」
父は色々不思議な物を持っている。まさか、実験器具まで持っているとは思わなかった。
早速、実験を開始した。水が入った箱に試験管を二本入れそれぞれをプラス極、マイナス極につな ぎ電流を流した。すると、すぐに気体が発生し始めた。その様子はやっぱり不思議で私は何故か鳥肌が 立った。私は、父に言った。
「水が水素と酸素からできるなんて、考えもしなかったな」
「うん、そうだな。でも、物質はみんな原子という単位でできているんだ。その原子も、最初の最初は 星のかけらだったんだよ」
「星のかけら?どういうこと?」
「物質を構成する原子は、ビッグバンから超新星の爆発にいたる宇宙の出来事に直接的に関わってき
たんだ。そして、人間の身体の七十パーセントは水だろう。だから結局、僕たちと水は同じ『星のかけ ら』なんだよ」
「私達も水も、星のかけらかぁ」
「水」と私達を形作っている原子が、「星」という大宇宙の存在の中でできたんだ、と考えるとちょっ と信じられなかった。
「それに、僕達が今生きていられるのは、水のおかげなんだ」
「へえ。なんで?」
「惑星系にはハビタブルゾーンというのがあってね…」
父は、天文学を研究していたので私の知らないことをたくさん知っている。
「ハビタブルゾーン」というのは、惑星の恒星からの距離が近すぎず、遠すぎず、惑星の表面上にあ る水が液体の状態で保っていられるような領域のことだ。近すぎると水は蒸発してしまい、遠すぎると 個体の氷になってしまう。そのため、生きていくために水が必要不可欠な生命は、ハビタブルゾーン内 の惑星でしか生きられないのだ。そう思うと、今まで身近な存在だった「水」が、とても尊く、かけが えのないものに思えてきた。
今日は、父から水について、不思議なことをたくさん教わった。「水」があるから、私達がいるんだ。


