2016年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  戸田 秀昭

【特別賞】今年、海で感じたこと

私はこの夏、家族と伊豆七島の式根島に遊びに行きました。式根島に行くのはこれで三回目で、美し

い海でシュノーケリングをすることをいつも楽しみにしていました。

私はシュノーケリングが大好きです。水の中にいると周りの音が聞こえなくなり、別の世界にいるよ

うな気分になります。そして色とりどりの魚と一緒に泳いでいると、まるで魚になったような気分にも

なります。それはとても不思議な感覚で、私も魚もみな同じ命で、この水から生まれてきたんだなと、

理由はよくわからないのですが身体で感じることができるのです。

「生命の誕生は海から」「水は生命の源」といわれていますが、普段の生活ではそれを実感することは

あまりありません。島での三日間は、それを私に思い出させてくれるとても大事な時間でした。

島を発つ日の朝、大人達がとても慌てている様子で目が覚めました。台風の影響で、乗る予定にして

いた東京行きの高速ジェット船がでなくなってしまったのです。このままでいくと最悪の場合二四日ま

で船が出ないかもしれない、という宿のおばちゃんの話を聞いて、私は初めて大変なことを知りました。

船会社と電話も通じないので母達は慌てて港の事務所に出航の状況を聞きにでかけました。宿の目の前

の海は、波が高く荒れ、昨日までの美しい海とはまったく違うものに変わっていました。もし船が出な

かったらどうしよう、いつ東京に帰ることができるのだろう、夏休みも終わってしまう…。と不安で頭

の中がいっぱいになり、その時初めて「ここは海に囲まれた島で、船がなければ取り残されてしまう」

ということに気付き、とても怖くなりました。

最終的に、大型客船なら出航できるかもということで、チケットを変更し、慌てて荷作りして大型客

船に乗りこむことができました。東京に向かう途中、波が激しく港に船をつけることができないため、

そのまま素通りになってしまった島もあり、無事に東京に帰ることができるのかとても心配で、竹芝桟

橋に着いた時は心の底からホッとしました。

日本は海に囲まれた島で、東日本大震災のときのように津波、そして大雨による土砂災害などがあ

ることは分かっていましたが、実際に自分がそういう水の恐怖を感じたことが今までありませんでした。

今回の式根島では、水の楽しさ、美しさ、水は生命の源であるということを感じるとともに、水による

災害、水の恐怖という水の二つの面を知ることができた旅になり、これからの私は今までより水に対し

ての意識が少し変わった生活を送るのではないかと思います。

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