2007年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  金 至児

【奨励賞】祖父の夕食は海から

僕がみつめる先には一枚の写真がある。そこには、この島で唯一の漁港と高々と聳える灯台の間に広が

る青くすきとおった海が写っていた。

僕の祖父は少し前まで、漁師をやっていましたが今は腰を痛めて、漁には出ていなくちょっとした野

菜作りに専念しています。

ある休日、祖父の家に遊びに行ったときのことでした。祖父に海に連れていってもらったり、山につれ

ていってもらったり、豊かな自然を満喫した日の夜、お腹のすいた僕達の前にはいろいろとおいしそうなごちそうが並んでいたのですが、祖父の前にはカジキという(この島の町魚)魚のみそあえだけが大きいどんぶりに入って置かれていたのです。それを見た僕は、「そんなみそあえだけでお腹いっぱいになるの、他のごちそうも食べてみたいと思わないの」とついきいてしまいました。すると祖父は、

「オジーはずっと前から夕食は毎日みそあえを食べるよ」

と言ったのです。その言葉を聞いた僕は驚きと同じに、ある意味ぜいたくで、体はとても丈夫ではない

かと思いました。

また、違った面からこのことを考えてみてください。祖父が毎日食べているこのみそあえは、海の生き

物が毎日釣れていることを表し、海にやどる命が生きていることになります。でも僕達人間が海にゴミ

を捨てたり、汚い水をそのまま海に流すことで、海は汚染され海の生き物が死んでしまう。そうなると

長年食べ続けてきた祖父の夕食も、食卓から消え漁をしている人達の生活がくるしくなると、考えまし

た。

海には人間が住めなくても僕達の体の栄養になる魚やこんぶや貝がいて、僕達の心に感動をあたえる

美しいサンゴもいます。絶対に人間が海を汚すことはあってはならないことです。これから、すべての人が海に対する意識をかえ、あってあたりまえの海ではなく、あってあたりまえだからこそ僕達人間がどうこの海を守っていくかを考えるのが大切なのです。

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