【奨励賞】海に教えてもらった
午後。あやしい天気になった。空は雲でおおわれ、風も少し強い。海の様子で入っていいかをしらせる
はたは、黄色のはただった。私は、 「たいへん。もしかしてできないかも」
と思った。先生が来た。
「えー。今日の午後は」
先生は、いったん言葉を切った。私は、むねのあたりで手を組みながら、いのっていた。
「どうかできますように」
先生は
「できます」
みんなうれしくて、キャーといっていた。先生は、
「ついてきて」
と言った。みんなが先生の後ろをついていきライフジャケットをきた。
私が乗るのは、二階だてのモーターボートだ。先生が乗っていい、とあいずした。乗ると意外と大型
で、運てんする所もきれいだった。 「ゴオー」
と、エンジンの音。さっきまで話をしていた人の声が聞こえなくなった。ボートは少しずつ動いていっ
た。最初はとてもゆっくりで、つまらなかった。でも、だんだん速くなっていることに気づいた。海に出ると予想外の速さになった。みんな口を動かして話をしているのに、まったく聞こえなかった。聞こえるのはゴーっというエンジンの音とビューっという風の音だけ。私は、 「すごい。速いよ。楽しい」
と言った。さっきまで見えていたヨットハーバーはもう見えない。ヨットが、風を切って走る。私のか
みは、ボサボサのかみになった。ボートのうしろから海を見ると、ボートが通ったところから、ビッグウェーブになっていた。私は「なんてすごい。とてもきれい」と海にたいして思った。
やがて時間はすぎ、ゆっくりとヨットハーバーまでもどってきた。私は「楽しかった。また、のりたい
な」と、思った。少し風がふいた。まだ、手に足に、体にのっている感じがのこっている。
私は、ふだんなにげに見ていた海が、とても楽しく、きれいだということを学んだ。きっと、海がこん
なに楽しくきれいということをしらない人がいるかもしれない。だから私は、一人でも多くしってもらいたい。楽しさときれいさを。
私に、きれいさと楽しさを教えてくれたのは、インストラクターの先生方じゃない。海という自然の先
生に、教えてもらった。


