2006年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  金 奇兌

【奨励賞】このでっかい気持ちを

僕の家の前には、九頭竜川があり、週に一度は釣りをしています。しかし最近、大雨で洪水が起き、桟

橋やテトラポットの周りにはたくさんの泥がたまり、川底が浅くなってしまいました。こうなると、そこに棲んでいた魚やエビ、カニなどの生き物がいなくなってしまうだろうと、僕は心配になりました。見るからに浅くなった川を見て、

「これではもう、魚やエビが捕れないなあ」

とがっかりした気持ちでした。ようやく川が澄んだある日の夜、僕と兄はライトとエビアミを持ち、川

へすっとんで行きました。どうせ何もいないだろうと、ライトを点けて水面を照らしたところ、魚が元気よく泳いでいました。その近くのテトラポットには、待ってましたとばかりに大きなテナガエビがはっていました。僕は、

「よかった。いないかと思った」

と言い、兄と一緒に胸をなで下ろしました。それからも雨が降るたびに、これ以上浅くなってほしくな

い、と何度も思いました。

海や川には釣り人がたくさんいますが、そのうちの三分の二の人がゴミを捨てて帰ります。それが風な

どで飛び散り、海や川に流れ込んで、水が汚れていきます。ゴミを捨てていくのは、釣り人だけではあ

りません。砂浜や河原に打ち上げられているゴミの中には、ペットボトル、スーパーの袋、空きビン、中には、ヘアースプレーや注射器など、あってはならない物まで捨てられています。僕は、なぜ自分で出したゴミを持ち帰らないのだろう、そしてわざわざ海や川に捨てにくるのだろう、といつも不思議に思います。それで、僕はゴミを絶対ポイ捨てしないようにしています。時々海釣りに連れていってくれるじいちゃんの船には、僕がゴミ箱を設けました。いつもはゴミを捨てているじいちゃんにも、

「ゴミは、ゴミ箱に捨てて」

と言って、海に捨てさせないようにしています。自分自身が出したゴミは、その場に残さず、自分自

身で持ち帰るのが、海を愛する人として守るべきマナーだと思います。そうしないと、だんだん水が汚

くなり、魚がいなくなって、僕の大好きな釣りができなくなってしまいます。だから、絶対にゴミはポイ捨てしてほしくありません。

家の前の川で釣りをしていると、家の近くに川や海があってよかった、としみじみ思います。僕は、幼

い頃から当たり前のように近くに川や海があったので、釣りが大好きになりました。五歳の時に、父か

ら釣りを教えられて、それ以来、暑くても寒くても、暇ができたら釣りをしています。

今年の七月二十七日には、九頭竜川で九十センチメートルもあるスズキを釣りました。それは実に感

動的な瞬間でした。僕は、本当にいい環境に生まれてきてよかったと感じました。三国の自然に恵まれた環境に生まれ育っていなければ、釣りという人生の楽しみには出会っていないと思うし、たくさんの魚と触れあえてもいないと思います。

僕は、このように自分の心をゆったりとさせてくれ、人生を豊かなものにしてくれているこの海や川

を、いつまでも大切に守っていきたいと心から思います。そして、できるだけ多くの人に、美しい海や川に親しんでもらいたいです。魚たちと戯れ、川の流れる先や海の果てしない水平線を眺めながら、「生きててよかった」などというでっかい気持ちになってもらえたら、最高にうれしいです。

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