【ざぶん文化賞】海とへび君
かもめは、海が大好きです。
海は、いつもピカピカ光っているし、大好物のお魚も、たくさん泳いでいるからです。
ある日、かもめがいつものように、海の上を飛んでいると、どこから来たのか、緑色の小さ
なへびが、葉っぱの船に乗って、ぷかぷか流れて来るのが見えました。 かもめは、へびに話しかけました。
「おーい。へび君、どこへ行くの」へびは、答えました。
「山のくらしにあきたから、川を下って海を見に来たんだよ。海は広くて、きれいだね」
そう言うと、体をぐーんと伸ばしました。海のはしっこを、見ようとしたのです。そのひょう
しに、ドッボーン。へびは、海に落ちてしまいました。 「あれー。ここはどこだー」
へびは、初めて海の中に入って、あわててしまいました。最初は、ぶくぶくあわしか見えま
せんでしたが、落ち着いてくると、海の中のいろいろなものが、目に入ってきました。赤、青、
黄色の魚たち、くねくね曲がる海草、まるでダイアモンドのようなさんごしょう。どれもこ
れも美しくて、へびは、夢の中にいるようでした。一番びっくりしたのは、自分にそっくりの、
海へびにあったことです。
「君は、だあれ。ぼくの仲間かい?」と、海へびに言われて、 「ぼくは、山に住むへびなのさ」と、答えると、
「うわー。山にもへびがいるんだー。どんなもの食べているの?」 と、話がもり上がりました。
そろそろ山に帰ろうと、へびが、ふと水面を見上げると、空は全く見えず、ゆらゆらゆれる
波が、ガラスの屋根となって、こい水色に七色の虹をうつしていました。
(海全部が、みんなの家なんだ)へびは、うれしくなりました。 「へび君、大丈夫かい?」かもめの声が、聞こえます。 へびは、海に顔だけだして、答えました。
「かもめ君、ここだよ。海はすてきだね。海の家には、たくさんの家族が住んでいるんだね」
かもめはへびを、口ばしでつまみあげて、海岸まで連れていってあげました。
波うちぎわでは、白い波がザブーン、ザブーンと、音をたててうちよせています。
「ここが、海のはしっこだったのか」
へびは、つぶやきました。へびはかもめに言いました。 「どうも、ありがとう。これ、おみやげだよ」
そして、小さなさくら色をした貝がらをわたしました。
(これ、食べれないかなぁ。)と、かもめは思いながら、頭にその貝をのせて、にっこり笑って、
飛び立ちました。


