2006年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  吉村尚子

【奨励賞】旅

巡るのだろう

私が今飲んだ水も

巡るのだろう

ザーザーと降り注ぐ雨も 巡るのだろう毎日工場からでていく汚水も

巡るのだろう

通学路に沿う川の水も

巡るのだろう

流しに捨てた昨日の味噌汁も 巡るのだろう

乾いてなくなったみずたまりも 巡るのだろう

長旅の中いろんな命に出逢って 幾度も汚されて綺麗にされて 巡るのだろう

水は広い広い海に

 

巡るのだろう

ひとつの生地に

巡るのだろう

また私の元へ

水はひとつ世界にひとつ

離れてめぐりあってまた離れて

ある国では人のゴミが浮かび

ある国では美味しさを求め

ある国では痩せこけた子供が心もなく探し歩き続け ある国では神聖的な宝のような存在で

ある国では洪水津波という名の無力な人殺しに変わる 笑顔をうみ涙を誘い

また人に巡る

忘れてはならない

水はひとつ

何処かで大切にしようとすれば

誰かの笑顔をうむ

何処かであざ笑えば

誰かの頬を涙がつたう

忘れてはならない 水はひとつ

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