【特別賞】人と湧き水
蛇口からあふれる水。そのまま放っておいても水は流れ続けます。そんな生活を送っていると、水は無
限にあるように思ってしまうことはありませんか?
当たり前のようにきれいな水が手に入る一方、テレビや新聞で「近い将来、世界中が水不足になる」
という話を聞いたことがある人も多いと思います。この矛盾が水不足の話の実感の無さの原因だと思い
ます。しかし本当は水は大切でかけがえのないものです。僕がそのことを初めて実感したのは去年の夏、父と岐阜県の大垣市に湧き水巡りに行ったことのことでした。
ちょうどその数日前、テレビで、あるニュースを目にしました。それは、最近中国の富裕層が日本の
水源を次々に買っているというものでした。その時は中国の人はどうしてそんなに水が欲しいのだろうかとぼんやりと思っただけでした。その後、父に湧き水巡りに行かないかと誘われ、同行しました。その時は、なんとなく面白そうだから行ってみようという気持ちでした。
大垣市に着くと、町の至るところに湧き水があふれ、和菓子屋の店先に涼しげにブクブク湧き出して
いるところや、公園の池になっているところもありました。反面、水の勢いで池の表面がぶわっぶわっとふくらむのを見ていると、少し不思議な気持ちになりました。湧き出している水がふっと止まってしまうような気がしたのです。それは、自分がいつも水を出す蛇口と違い、地面から湧く、ということがとても不安定に見えたからです。
しかし、よく考えてみると水道の水は川から取っていて、その川は湧き水が集まってできているので
す。水道の水が枯れないということは、湧き水も湧き続けているということです。しかも、大垣市で僕が見た湧き水は湧いた水がそのまま飲めるというところがほとんどでした。世界中で環境汚染が問題となっているのに、飲める水が昔から湧き続けているということのすごさを、その時初めて知りました。
人が生きていくには水が絶対に必要です。しかし、遠くの川から水を引いてきたり、水を手軽に買っ
たりできるようになった現代、水の大切さを考える場面はほとんどありません。それでも水は無限では
ありません。汚れた水はきれいにしないと元には戻らないし、蛇口からも水が永遠に出続けるわけでは
ないのです。それに気付かずに水を使い続けると、いつか世界から人の飲める水が無くなってしまいま
す。
よく、あと何年で石油がなくなるという話を聞きますが、石油は生活を便利にするための資源です。
それに対して水は生き物が生きていくために絶対必要な資源なのです。しかも、石油の代わりになる資
源はあっても、水の代わりになるものはありません。僕は、そんな水の大切さをもっとたくさんの人が考えなければならないと思います。
国土の七割が森林である日本には、大垣市に限らずたくさんの湧き水があります。それはとてもあり
がたく、守っていかなければならないものです。しかしその湧き水は、他の国に買われたり、汚れて使えなくなってしまってどんどん少なくなっています。では湧き水を守るにはどうしたらいいのでしょうか。
ただ水を節約するだけでは消費が遅くなるだけで最終的には同じことです。なくならないようにするた
めには、水が湧いてくる仕組み全体を守ることです。
まず、湧き水は地下水が地上に出たものです。その地下水は、雨が山にしみこみ作られます。雨は海
水が蒸発して雲になってできます。この過程を見ると、湧き水があるところだけでなく、その周りの海や山も関わっていることが分かります。つまり、湧き水を守るにはその周りの環境全体を守らなければならないということです。
現在たくさんの湧き水がある日本は、とても恵まれた環境なのです。みなさんも一度、身近にある水
について真剣に考えてほしいと思いました。


