2006年度受賞作品,  ARTIST,  AWARD,  せりのりか

【ざぶん文化賞】感動した海

ぼくは去年まで、一度も海で泳いだ事がなかった。この事は、学校の友達にもはずかしく

て言えなかったけど、今年はちがう。海で泳いだんだ。海は沖縄にある無人島の海を選んだ。

そこは、水色に薄い緑を混ぜたような、ものすごくきれいな海だった。

海に着いて、すぐ海水をなめてみた。思っていたよりもしょっぱい味がして、

「こりゃあ飲めんなぁ」と思った。それに川やプールの水とはちがって、海水は、はだやか

みの毛がぬれると少し重たい感じがした。

シュノーケルを初めてつけて、息をする練習をした。足ヒレも初めてはいた。

「ピッタリだ。きっとうまく泳げるぞ」と思った。でも、心ぞうがドキドキする。それでも

ぼくの足元を青い魚や黄色い魚がちょろちょろして、早くもぐりたくてたまらない気持ちに

なった。

道具の準備はできた。ぼくはプールに通っているので、泳ぎには少し自信がある。

「よーし行こう」

気合を入れて、お母さんや他の人達と、海の中へじわじわと入って行った。

水中メガネで海の中を見て、びっくりした。川とはちがう。全然ちがう。青、黄色、ピン

クっぽい魚達で、海の中がお祭りのようににぎやかだった。少し深い所を見ると、四十セン

チくらいのタイに青い色をぬったような大きな魚が何匹も泳いでいた。 「おおーっおおーっ」

こうふんしすぎて、口からシュノーケルがはなれそうになった。

ぼくはこんな光景は、水族館やテレビでしか見た事がなかったので、始めの五分くらいは、

まるで映画やゲームの世界のような気がして信じられなかった。これが本物なんだ。海の中

はこんなにきれいなんだと思った。

海から上がった時、体が少しきつい感じがしたけど、こうふんしていてきつさが全然気に

ならなかった。その日の夜、ぼくの頭の中を青や黄色の魚たちがちょろちょろして、なかな

かねむれなかった。

次の日、気持ちよく目がさめた。でも体がひりひりする。夕方になって、ぼくの肩と鼻の

頭の皮がうすくむけた。これも、初めての経験だ。 今年はどうどうと胸を張って、

「海で泳いだよ!海だよ!海で泳いだよ」

と、みんなに言える。今、ぼくはまだ海が忘れられなくて、ボーっとしている。

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