【特別賞】かけがえのない海
2022年9月6日
私にとっておじいちゃんはかけがえのない存在だった。
たった一人のおじいちゃんで、いつも私のなやみや話を聞いてくれた。
私とおじいちゃんは海が大好きだった。
昔はよく二人で海へ行っておしゃべりをしていた。
おじいちゃんはよく海の話をしてくれた。
「海は戦後の沖縄を支え、優しく見守り、人々の心をいやしてくれた。 心に深く残った悲しみ、苦しみ、辛さを少しずつふきとってくれた」 と教えてくれた。
「・・・海はキレイだなぁ。おじいちゃんもよく海に来たもんだ」
その日、初めて私はおじいちゃんが体験した戦争の話を聞いた。 いつもニコニコ笑ってるおじいちゃんの顔が、
その時だけは厳しい表情に変わっていた。
おじいちゃんの話は私にとって辛く、衝撃的なものだった。
でも、おじいちゃんは
「この海を守って良かった」
と言っていた。
「おじいちゃんも戦争でいろんな体験、辛い思いをしてきたんだ。 ・・・でも、海に助けてもらったんだ」
今ではおじいちゃんも白いサンゴになってしまった。
私はとても辛くて、悲しかった。
でもおじいちゃんは、夏の太陽の日ざしを浴びて白く光る砂浜のように、
キラキラ輝いてキレイだった。
「ザァー、ザァー」
海は私に話しかける。
「辛いときはいつでもおいで、話においで」
・・・私にとってかけがえのないおじいちゃんは、海になった。
この世界に、この地球にたった一つしかない、かけがえのない海になった。


